2012 Fiscal Year Research-status Report
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24791103
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Research Institution | National Research Institute for Child Health and Development |
Principal Investigator |
五十嵐 麻希 独立行政法人国立成育医療研究センター, その他部局等, その他 (10623035)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 国際情報交換 / ベトナム |
Research Abstract |
本研究の目的は、次世代シークエンス(NGS)とマイクロアレイcomparative genomic hybridization (CGH) に代表される次世代遺伝子解析技術を用いて、性分化疾患(DSD)の原因遺伝子の検出および機能の解明を行うことである。 平成24年度は、実験計画に基づき合計141例の解析を下記の通り行った。 (1) 重度の外性器異常を伴う46,XY DSD/46,XX DSD (n=47):既知DSD責任遺伝子と候補遺伝子計120を対象とするターゲットエンリッチメント、および、全ゲノムCGHを行った。NGSの陽性対照として、4例の既知変異陽性患者を同時に解析した。(2) 比較的軽度の外性器異常を伴う46,XY DSD (n=95):既知DSD責任遺伝子と候補遺伝子計20を対象とするアンプリコンシークエンスをおこなった。 結果は下記の通りであった。(1)NGSでは、62種類の遺伝子変異が同定された。変異の約80%が直接塩基配列決定で再現可能であった。陽性対照の変異はすべて検出された。8例において病的意義が明確な既知遺伝子変異(AR, SF1, SOX9, BNC2)が、29例で候補遺伝子の変異が同定された。CGHでは4例の染色体微小欠失が検出された(DMRT1を含む9番染色体2例、2番染色体1例、20番染色体1例)。(2) 2例で既知遺伝子変異が3例で候補遺伝子変異が検出された。 本研究では、次世代遺伝子解析技術が、遺伝的異質性を有する疾患の変異スクリーニングに有用であることが明らかとした。重症度の異なるDSDにおける既知遺伝子変異の寄与が明確となり、DSD発症におけるoligogeneityの可能性および既知遺伝子変異による表現型の多様性が見出された。なお、CGH解析の成果については、現在科学論文に投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は、NGS解析により性分化疾患(DSD)患者の141例での変異解析を実施した。解析の結果、病的意義が明確な既知遺伝子変異や候補遺伝子の変異が多く同定され、現在はそれらの機能解析を進めている。また、50例でアレイCGH解析を実施した結果、4例で病的意義のある片側アレルのdeletionを見出した。 これらの研究成果については、複数の学会にて口頭発表を行った。またアレイCGH解析の成果については、現在科学論文に投稿中である。 申請者は、本研究の進捗状況や発表状況から、本研究がおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、24年度に引き続きDSD症例におけるNGS解析による遺伝子解析を行う。これに並行して、これまでに同定した遺伝子変異について、in silico解析およびin vitro機能解析を行い、さらに臨床情報との比較によりその病的意義を判断する。 本研究により得られたデータを詳細に解析し、学術的にまたは臨床的見地から有用である情報を抽出し、学会や研究会、論文などで発表することで、国内外に幅広く発信していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費は、下記の目的で使用する計画である。 1)遺伝子変異解析および同定した遺伝子変異の機能解析の為の物品費として。 2)学会・研究会などで研究成果を発表する為の旅費として。 3)科学論文への投稿費として。
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