2013 Fiscal Year Annual Research Report
マウス胎仔の心エコー検査による胎児プログラミングの実証的研究
Project/Area Number |
24791114
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
青柳 良倫 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (30509469)
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Keywords | 胎児プログラミング / 胎仔エコー / 血流再分配 |
Research Abstract |
妊娠マウスへ与える環境負荷としてニコチンを選択し、ニコチン投与が母胎マウスの心機能および仔マウスの血行動態に及ぼす急性期の反応を観察した。 初めに妊娠マウスにニコチン0.5mg/kgを皮下注射した場合の血中濃度をHPLC法で測定したところ、結果は59.4±18.9ng/ml(5分後)、96.7±20.6ng/ml(15分後)、61.4±9.9ng/ml(30分後)、18.6±12.1ng/ml(60分後)であった。そこで、CD1マウスの交配により得られた在胎日齢9.5と11.5、13.5の妊娠マウスに対して、ニコチン0.5mg/kgを皮下注射し、注射前と注射後15分から30分後にかけての母胎の心機能および仔マウスの背側大動脈、内頸動脈、臍帯動静脈および子宮動脈の血流の変化をそれぞれエコー検査法により計測した。 結果として、ニコチン投与後は母胎の心拍数と心拍出量がともに減少し、仔マウスにおいては、内頸動脈と臍帯動脈の血流量が減少することが判明した。しかし、仔マウスの血流の変動においては母胎の血行動態の変化の影響が大きいと考えられ、血中濃度から考えて投与したニコチン量が多すぎた可能性が考えられた。そのため投与するニコチン量を0.2mg/kgに減量して同様の実験を施行した。ニコチン0.2mg/kgを皮下注した場合の母胎のニコチン血中濃度は15~30ng/mlであり、これは人間が喫煙した場合の血中ニコチン濃度により近い値であった。 ニコチン0.2mg/kgを母胎に投与した場合、母胎の心拍数、心駆出率、心拍出量はいずれも減少する傾向は認められなかった。胎仔の臓器血流においては、頸動脈の血流が有意に減少し、背側大動脈や臍帯動脈の血流も減少する傾向を認めた。 現在は、ニコチンを経口摂取させることにより、ニコチン負荷が母胎および対仔の臓器血流に与える慢性的な影響について検討している。
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