2012 Fiscal Year Research-status Report
新生児脳低温療法のサイトカイン産生・転写因子発現に及ぼす影響の検討
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24791118
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
小池 泰敬 自治医科大学, 医学部, 助教 (00382903)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 新生児仮死 / 脳低温療法 / サイトカイン / 転写因子 |
Research Abstract |
新生児仮死は新生児の神経学的後遺症の最大の原因である。新生児蘇生法の標準化ガイドラインの2010年改訂で脳低温療法は重症新生児仮死・低酸素性虚血性脳症の標準治療とされた。しかし、脳低温療法が効果を示す機序については、多くの因子が推測されているが、必ずしも明確でない。 新生児仮死による脳障害発症の機序には、低酸素や虚血だけでなく、児自身が産生するサイトカインが関与するという報告が続いており、これまでの我々の研究でも同様の結果が得られている。 我々は、微量検体で解析が可能なsuspension-array systemを用いて、種々の新生児疾患のサイトカインプロファイルのデータを論文報告し、新生児仮死については炎症性サイトカイン高値を確認している。また、現在は、同システムを用いて、転写因子プロファイルも測定可能となっている。 新生児脳低温療法がサイトカイン産生に及ぼす影響についてはいまだ報告がなく、さらに転写因子を含めた詳細な病態解析はなされていない。 今後、新生児仮死に脳低温療法が広く施行されることになるが、本治療の安全性及び有効性を検討することが重要と考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究のために自治医大倫理委員会の承認を得て、研究を開始した。患児のご家族から同意書を得て、検体採取を始めた。 脳低温療法の必要のない軽症新生児仮死症例3例および比較対照症例5例から、のべ40検体を採取でき、転写因子の測定を行った。測定は予定通り、Bio rad社のBio-plex 200 systemを用いて測定した。Quality Controlがその範囲内に入り、問題なく測定できた。 測定の結果、軽症新生児仮死症例と比較対照群では、有意差は認められなかった。 重症新生児仮死症例については、いまだ適切な症例がなく、今後、検体採取をすすめていく予定である。 研究は概ね順調に進んでおり、3年間の研究で良い成果が得られると期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、重症仮死症例、軽症仮死症例、比較対照症例の検体採取を行い、一定数検体が確保された段階で、サイトカインおよび転写因子測定を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
測定キットなど、消耗品の購入にあてる。
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