2013 Fiscal Year Research-status Report
血中ステロイド一斉測定による超早産児の副腎機能発達の評価
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24791122
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
三輪 雅之 慶應義塾大学, 医学部, 共同研究員 (30383855)
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Keywords | 副腎機能 / 超低出生体重児 / 早産児 / ステロイドプロファイル / 胎生皮質 |
Research Abstract |
H24年度には在胎28週未満で出生した児が修正37週まで成長した段階での血中ステロイドプロファイルを行った。超早産児では修正37週でも正期産児に比べ有意にコルチゾール(F値)、コルチゾン(E値)が低く、修正37週になっても副腎永久皮質からのステロイドホルモン基礎分泌が低いことが判明した。 H25年度は22週-25週で出生した児の日齢4での血中ステロイドプロファイルを行い、出生早期のステロイド投与がプロファイルの与える影響および、後の晩期循環不全発症において差があるかを検討した。結果から。日齢4では全身状態が安定している場合は、①日齢0-3に行われたステロイド投与は血中ステロイドプロファイルには影響いない②日齢0-3に行われたステロイド投与は後の晩期循環不全発症にも影響しないこと③晩期循環不全発症例では日齢4でF値が高値であり、高いコルチゾール需要の状態である可能性が高いことが示唆された。一方、修正37週の時点で差のあった胎生皮質ステロイド(晩期循環不全児で低値)は日齢4では後の晩期循環不全発症の有無による差は認めなかった。 以上から大きな合併症のない早産児では出生後から修正37週まで基礎分泌が低いながらも恒常性を保っているという推論が可能となった。晩期循環不全児のステロイドプロファイルの継時的変化は未だ不明ではあるが、出生早期からのステロイドプロファイルの違いからは副腎機能が発症に重要な因子であることは間違いないと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度に超早産児が修正37週に達した段階での正期産児との比較を行ったのに続き、今年度は計画通り、超早産児の出生早期のステロイドプロファイルの測定を行った。測定するだけでなく、出生後のステロイド投与および後の晩期循環不全発症を汲みして、血中ステロイドプロファイルの初期値を測定できたことで、その後の変化がどの様な副腎機能の発達によってなるかを解釈可能となったと考えている。 昨年度に続き、難点としては条件を合わせて比較を行うため、症例数の絶対数が少ないこと、また、そのために生後2週間での血中ステロイドプロファイル測定ができなかったことは研究上の遅延である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究成果を踏まえ、生後2週間での超早産児の血中ステロイドプロファイル測定を中心に研究を進める。同時に修正37週ならびに出生後早期の測定検体を増加する。生後2週での検体が十分であれば生後1か月の血中ステロイドプロファイルを行い、3点または4点の経過で超早産児の副腎機能発達を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費は主に検体の測定費用として使用しているが、H25年度は一括して測定する検体数が予定よりも少なくなったために当該助成金が生じた。 研究費は引き続き、検体の測定費用を主として使用する。高度な分析を要するものであり、前処理は研究者本人が行う。 その他には検体を採取、保存する物品を中心として使用し、研究成果の発表と副腎皮質機能に関する研究の文献検索、国内外の学会での情報収集のために使用する予定である。
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