2012 Fiscal Year Research-status Report
サイトメガロウイルス感染胎盤病態関連遺伝子の包括的解析
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24791126
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
山田 壮一 国立感染症研究所, ウイルス第一部, 主任研究官 (10514119)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 先天性感染 / 経胎盤感染 / 胎盤組織培養 / マイクロアレイ |
Research Abstract |
マイクロアレイ解析により同定された遺伝子のいくつかに関してreal-time RT-PCRによる定量的測定系を構築した。胎盤及び培養細胞における遺伝子発現動態を定量解析したところ、GPCMV感染により発現量が変動することから、同定遺伝子とGPCMV感染との関連性が明らかとなった。また、GPCMVが感染可能なモルモット胎盤組織培養系を樹立した。胎盤組織の培養条件の検討により、長期(3週以上)にわたり培養可能な系を構築した。この培養胎盤組織片に、蛍光を発現する組換えGPCMVを感染させ、経時的に観察すると島状に感染領域が拡大するのが観察された。また、経時的なreal-time PCRによりウイルスDNA量の増加が確認され、病理学的解析によりウイルス抗原がtrophoblast、yolk sac及び血管内皮細胞に検出された。異なる妊娠時期から分離培養された胎盤組織の比較では、妊娠後期胎盤において感染性または増殖性の低下が示唆された。このように、当該年度は本研究の基盤となる遺伝子定量測定系及び胎盤組織培養系を構築した。これにより、in vivoにおけるGPCMV感染による宿主遺伝子発現動態への影響に関して、in vitroおよびin vivoに近い培養胎盤組織を用いた詳細な解析が可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定した、定量的測定系及び胎盤組織培養系の構築に成功した。特に胎盤組織培養系の樹立及び胎盤組織におけるGPCMV感染動態の解析が可能となったことにより、今後予定しているマイクロアレイ解析や感染胎盤における宿主遺伝子動態の詳細な解析がスムーズに行えると考えられる。一方で、培養細胞系の樹立に関しては達成できておらず現在試行錯誤して樹立を目指している。しかしながら、胎盤組織培養系を用いることで当初の目的を十分に達成できると考えられ、本研究の達成具合はおおむね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
構築された胎盤組織培養系を主に用いて、マイクロアレイ等を用いた宿主遺伝子動態解析を行い、モルモット個体での結果と比較解析していくことにより、胎盤病態への影響因子を明らかにしていく。細胞培養系に関しても引き続き樹立を試み、それらを用いた解析も行っていく。最終的に、培養ヒト胎盤細胞を用いた解析との比較により、胎盤においてCMV感染に関連する宿主遺伝子の同定及び機能を明らかにしていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
細胞培養系の構築が上手くいかず、当初予定した細胞培養関連の研究費を全て使用していないため当該研究費が生じた。今後は、培養細胞系を樹立するとともに、胎盤組織培養のための妊娠モルモット及び培養関連品、培養胎盤組織及び培養細胞を用いたマイクロアレイやRNAi解析のための試薬等が必要となり、また、成果の発表(学会発表や論文掲載)を行うことにより当初予定された通り研究費を消化していく。
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