2012 Fiscal Year Research-status Report
アトピー性皮膚炎患者におけるフィラグリン2遺伝子変異解析
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24791129
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
長谷部 育恵 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 非常勤講師 (70616341)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | アトピー性皮膚炎 / フィラグリン / フィラグリン2 |
Research Abstract |
アトピー性皮膚炎は、小児の約15%が罹患する、極めて頻度の高い疾患である。アトピー性皮膚炎の原因は長らく不明であったが、最近、申請者らは、日本人のアトピー性皮膚炎患者の一部がフィラグリン遺伝子変異を持つことを明らかにしたが、残りの患者については、未だに病因が不明である。そこで、我々は、それらフィラグリン遺伝子変異を持っていない患者について、フィラグリン2遺伝子の解析を行うことにした。フィラグリン2は、フィラグリンと同じく、ヒト表皮の顆粒層と角層に発現するタンパク質で、最近の研究により、皮膚バリア機能の形成と皮膚の保湿への深い関与が示唆されており、アトピー性皮膚炎発症との関連が強く疑われるが、両者の関連はこれまで解明されていない。今回の研究の目的は、アトピー性皮膚炎患者にフィラグリン2遺伝子の変異が認められるかどうかを検討し、アトピー性皮膚炎の新しい発症因子を明らかにすることである。これにより、まだ十分に解明されていないADの病因の一端が明らかになることが期待される。今回の研究では、まず、我々がこれまでに収集した約250人のアトピー性皮膚炎患者から、フィラグリン遺伝子変異を持たない患者の抽出を行った。具体的には、これまで日本人で同定されている10種類のフィラグリン遺伝子変異のすべてについてdirect sequenceを行い、変異の有無を決定した。結果、約70%にあたるアトピー性皮膚炎患者がフィラグリン遺伝子変異を有していないことが明らかになった。現在、これらの患者検体について、フィラグリン2遺伝子変異解析を施行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、フィラグリン遺伝子変異を持たない患者の抽出と、それらの患者についてのフィラグリン2遺伝子変異解析を行うものである。すでにフィラグリン遺伝子変異を持たない患者の抽出が終わり、フィラグリン2遺伝子変異の解析に取りかかっており、研究はおおむね順調に進展しているものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
フィラグリン2遺伝子解析を進めて行く。フィラグリン2遺伝子は繰り返し配列に富む遺伝子であり、解析が困難な場合は、次世代シークエンスを用いた解析も検討する。また、アトピー性皮膚炎患者の皮膚を免疫染色し、フィラグリン2の発現について検討する。フィラグリン2の発現が低下している患者を選択し、重点的にフィラグリン2遺伝子変異解析を行う予定である。フィラグリン2の皮膚における機能は完全には解明されていないため、バリア機能や天然保湿因子との関連についても検討を進めて行く予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初、平成24年度にフィラグリン2遺伝子の解析も行う予定であったが、アトピー性皮膚炎患者のフィラグリン遺伝子変異検索に時間を要したため、少数のサンプルしか施行できなかった。そのため平成24年度に未使用額が生じたが、平成25年度にそれらの実験に対し使用する予定である。
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