2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24791132
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
水芦 政人 東北大学, 大学病院, 助教 (20400369)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 円形脱毛症 / Th17 |
Research Abstract |
円形脱毛症の臨床経過は様々であり、その予後を予測することが困難な疾患である。円形脱毛症の病態として自己免疫性疾患の要素が想定されており、免疫抑制・変調を目的としたステロイド剤の使用や局所免疫療法が行われる。円形脱毛症の病態について、円形脱毛症の病変局所における炎症性サイトカインとその関連分子の遺伝子発現についての報告は少ない。 これらの疑問を検証するために、円形脱毛症の脱毛斑部の生検検体を用いて、Th1型、Th2型、Th17型、Treg型のいずれの免疫反応が有意に引き起こされているかを免疫組織学的に検討した。円形脱毛症病変部における炎症性サイトカインとその関連分子の発現は、RT-PCR法による遺伝子発現検索と免疫組織染色による分子発現局在の検討を行った。 脱毛症病変部におけるRT-PCR法による遺伝子発現検索の結果、IFNγ, IL-6, IL-4, IL-13, IL17A, IL-17F, IL-10, Foxp3の遺伝子発現が、正常頭皮に比較して有意に高発現していた。とくに脱毛症病変部ではIFNγの発現が、全ての他の遺伝子よりも有意に高いことが示された(P < 0.05)。脱毛病変部の毛包周囲の単球を中心とした浸潤細胞内にIL-17陽性細胞を免疫組織学的に認め、脱毛病変部のIL-17陽性細胞数は正常頭皮と比較して有意に増加していた 。 円形脱毛症の発症機序解析のための組織学的検討からは、Th1/Th17系の組織学的反応が円形脱毛症病変部で起こっていることを示唆した。本研究での免疫系への臨床的影響と病理学的検討は、円形脱毛症病態の一側面を示したと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の円形脱毛症病変部の遺伝子発現解析では、Th1, Th2, Th17, Treg 関連分子の高発現が脱毛症病変部に確認され、特にTh1サイトカインのIFNγ優位の発現が確認できた。免疫組織学的解析では、毛包周囲と毛包内へのIL-17陽性細胞の浸潤を認め、これは正常頭皮と比較して優位に多く認めることを見いだした。これらは、Th17細胞が円形脱毛症病態に関与することをより直接的に示している。Th1, Th2, Th17, Treg細胞の協奏的な浸潤の中で、Th17の円形脱毛症病態における意義を解析することは、予後因子の解析と相まって、よりよい治療法の構築に寄与すると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
1) 円形脱毛症病型別の病変部浸潤細胞の発現遺伝子解析 これまでの円形脱毛症研究は、後天的に発症した非瘢痕性脱毛を全て円形脱毛症として同一の病態形成機序が働いていると想定して行われてきた。しかし、ADTAFSを例に挙げるまでもなく、円形脱毛症は異なった病態形成機序からなる疾患の総称である可能性がある。そこで、私たちは円形脱毛症患者を①アトピー性皮膚炎合併群、②Kawamuraらの報告したADTAFSの定義に合致する群、③それ以外の群に分け、円形脱毛症病変部の遺伝子発現を検討する。 2)細胞障害性タンパクの免疫染色 円形脱毛症病変部をGranulysin、perforin、Granzyme A、FasLなどの細胞障害性タンパクに対する抗体により免疫染色を行い、脱毛症における毛嚢細胞障害機序を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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