2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24791132
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
水芦 政人 東北大学, 大学病院, 助教 (20400369)
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Keywords | 円形脱毛症 / Th17 |
Research Abstract |
円形脱毛症の臨床経過は様々であり、その予後を予測することが困難な疾患である。円形脱毛症の病態として自己免疫性疾患の要素が想定されており、免疫抑制・変調を目的としたステロイド剤の使用や局所免疫療法が行われる。円形脱毛症の病態について、円形脱毛症の病変局所における炎症性サイトカインとその関連分子の遺伝子発現についての報告は少ないため、脱毛斑部の生検検体を用いてTh1型、Th2型、Th17型、Treg型のいずれの免疫反応が有意に引き起こされているかを免疫組織学的に検討した。円形脱毛症病変部における炎症性サイトカインとその関連分子の発現は、RT-PCR法による遺伝子発現検索と免疫組織染色による分子発現局在の検討を行った。 脱毛症病変部におけるRT-PCR法による遺伝子発現検索の結果、IFNγ, IL-6, IL-4, IL-13, IL17A, IL-17F, IL-10, Foxp3の遺伝子発現が、正常頭皮に比較して有意に高発現していた。とくに脱毛症病変部ではIFNγの発現が、全ての他の遺伝子よりも有意に高いことが示された。脱毛病変部の毛包周囲の単球を中心とした浸潤細胞内にIL-17陽性細胞を免疫組織学的に認め、脱毛病変部のIL-17陽性細胞数は正常頭皮と比較して有意に増加していた 。 H25年度には円形脱毛症の病型別に解析を行ったところ、脱毛症の亜型として特徴的臨床所見、臨床経過を辿る急性びまん性全頭脱毛症(ADTAS、数ヶ月以内に急激にびまん性にすべての頭髪が抜け落ちて全頭脱毛の状態となるが1年以内の発毛率も高い)病変部のIL-17陽性細胞数は円形脱毛症の他の病型と比較すると優位に少なかった。 円形脱毛症の発症機序解析のための組織学的検討からは、Th1/Th17系の組織学的反応が円形脱毛症病変部で起こっていることを示唆した。本研究での免疫系への臨床的影響と病理学的検討は、円形脱毛症病態の一側面を示したと考える。
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