2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24791135
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
茂木 精一郎 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (20420185)
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Keywords | 間葉系幹細胞 / 悪性黒色腫 |
Research Abstract |
申請者は、以前に分泌蛋白質MFG-E8 が血管周皮細胞から大量に産生、分泌されること、MFG-E8 が血管周皮細胞表面上のインテグリンと結合し、PDGFRβシグナルを亢進させ、細胞運動、腫瘍血管新生を促進させることを見いだした。本研究では、間葉系幹細胞(MSC)による腫瘍血管新生の制御におけるMFG-E8 の役割を明らかにすることが目的であった。まず、マウス骨髄細胞よりMSCを誘導し、MFG-E8が高発現していることを確認した。次に、MFG-E8 WTおよびKOマウスの骨髄よりMSCを誘導し、発現マーカーについて検討したところ明らかな違いは見られなかった。MSCによる腫瘍の成長と血管新生の促進効果におけるMFG-E8の役割を検討するためにMFG-E8 WTおよびKOマウス骨髄由来MSCと悪性黒色腫細胞を共にマウスに移植し、腫瘍の大きさ、腫瘍内血管量を比較検討した。さらに、MSCはマウスに移植する前に低酸素条件下での培養を行った。その結果、MSCは悪性黒色腫の成長と血管新生を促進させた。さらに、低酸素処理したMSCは正常酸素処理と比べて腫瘍の成長と血管新生を促進させた。MFG-E8 KOマウス由来MSCでは、WTマウス由来MSCと比べて、これらの効果が低下していた。in vitroでは、低酸素処理によってMSCのMFG-E8産生量が増加すること、正常および低酸素処理においてMFG-E8 KOマウス由来MSCにおける血管新生に関する分子の発現や増殖能が低下することを明らかにした。これらの結果より、MFG-E8は、MSCによる悪性黒色腫の成長と血管新生の亢進を制御することが示唆された。また、ヒト悪性黒色腫においてもMFG-E8は血管周皮細胞に多く発現が見られることを見出し、ヒトにおいてもMFG-E8がMSCの制御を担っている可能性が示唆された。これらの成果から、MFG-E8を標的とした癌治療への応用が期待できる。
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