2012 Fiscal Year Research-status Report
インフラマソーム活性化によるプログラム細胞死の分子メカニズムの解明
Project/Area Number |
24791136
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
佐藤 貴史 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90568635)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | NLRP3 / インフラマソーム / プログラム細胞死 / 好中球 |
Research Abstract |
周期熱・じんま疹・関節炎を来すCAPS(Cryopyrin associated periodic syndrome)を引き起こすNLRP3の恒常活性変異体を用いて、プログラムネクローシスの分子機序を明らかにすることを目的として研究を行っている。NLRP3は細胞内パターン認識受容体の1つであり、PAMPsやDAMPsを認識してIL-1βを分泌すると同時にプログラムされたネクローシスを惹起し、周囲にDAMPsを放出することでより強い炎症を誘導するが、細胞死が起こる分子機序は不明である。 本研究では、このNLRP3依存性のプログラム細胞死が、NLRP3のアダプター分子であるASCの凝集の前後においてブロックされうることを明らかにした。NLRP3のアダプター分子であるASCとその下流で切り出されるCaspase-1をノックダウンした結果、ASCはこの細胞死に必須であるが、Caspase-1は必須でないことが分かった。またこの細胞死はIL-1β放出を伴わなくとも、好中球誘導能を有することをマウスで確認した。 これらの結果は、CAPSにとどまらず他の炎症性疾患においても、炎症を増悪させる因子としてNLRP3依存性の細胞死がその病態に関与している可能性を示唆すると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Tet-onシステムでCAPS関連のNLRP3変異体を発現させると、ネクローシス様細胞死が誘導されることを確認した。このNLRP3依存性のプログラム細胞死は、Cathepsin B阻害剤であるCA074-Meとpan-caspase阻害剤であるZ-VAD-fmkで抑制されること、またその阻害部位が、それぞれNLRP3のアダプター分子であるASCの凝集の前後であることを明らかにした。NLRP3のアダプター分子であるASCとその下流で切り出されるCaspase-1をノックダウンした結果、このNLRP3依存性の細胞死はASCを必要とするがCaspase-1は必要としないことが分かった。 一方、NLRP3のPYDドメインをFKBP蛋白を用いて重合化させるモデルでもネクローシス様細胞死が誘導されたが、このモデルではTet-onシステムでは認められない、Caspase-3やPARPの切り出しが起こっていることから、NLRP3依存性の細胞死モデルとして妥当ではないことが推察された。 このNLRP3依存性のプログラム細胞死による好中球の誘導能をマウスのair-pouchモデルで検証すると、IL-1β放出を伴わない細胞死単独でも、好中球の誘導能を有することが認められた。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに得られた知見をさらに検証すると共に、結果を総括して論文化し、専門誌に投稿する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
細胞培養、遺伝子導入、抗体、マウス飼育、プラスチック器具、学会参加旅費、論文化等の経費に使用する予定である。平成24年度に予定していた実験が施行できなかったため、使用予定額から369,200円の繰り越しが生じたが、平成25年度にそれらの実験を行う予定である。
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