2013 Fiscal Year Annual Research Report
KID症候群モデルマウスにおける発癌メカニズムの解明
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24791148
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
藤山 俊晴 浜松医科大学, 医学部, 助教 (60402301)
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Keywords | コネキシン26 / 発癌 |
Research Abstract |
作成したモデルマウスの一部では、髭を欠き口囲に脱毛が見られる等、特異な表現型を示すものがみられたが、全例ではなかった。病理組織学的には皮膚の一部でcystが見られた。また、一部の個体では直径2cm弱までの多発膿瘍が腹腔内に形成され免疫不全の合併が示唆された。しかし、2年程度の飼育の間に変異Cx26遺伝子を発現する皮膚において自然発がんは確認されなかった。 モデルマウスで形成された膿瘍の病理組織像は主にリンパ球と組織球を混じる膿瘍で、RT-PCRでは膿腫内容には導入したCx26の遺伝子の発現は認められなかった。従って、免疫力の低下により間接的に膿瘍を形成したものと考えた。免疫不全の検索のため、血液および脾臓より採取したT細胞をPMAとカルシウムイオノフォアで刺激してサイトカイン産生を細胞内サイトカイン染色を行いFACSで確認したが、明らかな異常を捉えられなかった。 紫外線発癌を誘導するためUVBを照射したところ、潰瘍形成し治癒が数カ月持続したが、病理組織学的にも潰瘍部に明らかな発癌は確認できなかった。 プラスミドベクターにより変異型Cx26遺伝子を導入したHaCaT細胞と遺伝子を導入していないHaCaT細胞にUVBを照射したところ、導入細胞に、死細胞の割合が軽度低下した。紫外線を照射しない場合は、遺伝子を導入するだけでも死細胞の割合は軽度上昇していた。しかし、いずれも統計学的有意差は認められなかった。 これまでの研究結果から、発癌の誘導には成功しなかった。しかし、免疫不全に関連した発がんや、紫外線感受性に変化が生じて発癌することなどが想定された。また、これまでの報告でコネキシンの変異によるギャップジャンクションの機能が亢進しており、CaイオンやcAMP等のセカンドメッセンジャーの出入りに変化が生じている可能性がある。今後、検討したいと考えている。
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