2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24791159
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
難波 大輔 愛媛大学, 上級研究員センター, 講師 (10380255)
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Keywords | 表皮角化幹細胞 |
Research Abstract |
ヒト表皮角化幹細胞の特性の理解は、表皮の恒常性維持や創傷治癒に対する理解のみならず、表皮角化幹細胞を用いた再生医療の更なる進展を可能にするものである。昨年度、ヒト表皮角化幹細胞と、一時的にのみ増殖する細胞=transient amplifying細胞(TA細胞)とで、アクチン繊維の配向性が異なること、及びその違いが、上皮成長因子(Epidermal Growth Factor = EGF)に対する反応性を生み出すことを明らかにした。以上の結果は、幹細胞とTA細胞で、細胞の運動性が異なっていることを強く示唆するものであった。そこで、幹細胞コロニーとTA細胞コロニーの通常培養状態での個々の細胞のコロニー内移動速度を測定した結果、幹細胞で有意に大きいことが明らかとなった。さらに個々の角化細胞の運動性を詳細に解析した結果、すでに2細胞コロニーの段階で運動性に差があること、またコンピューターを用いたシミュレーション実験の結果から、この個々の角化細胞の運動性の差が、幹細胞コロニーとTA細胞コロニーでの個々の細胞の移動速度を生み出すことが明らかとなった。以上の結果は、幹細胞とTA細胞で、細胞運動性の生み出す細胞内張力に違いがあることを強く示唆するものであったので、細胞内張力を低下させる低分子化合物を用いて、ヒト表皮角化細胞培養を行った結果、新生児由来角化細胞だけでなく、成人由来角化細胞でも増殖性を亢進させることに成功した。以上の結果は、細胞内張力の低い集団が、ヒト表皮角化幹細胞であることを示唆している。
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