2014 Fiscal Year Annual Research Report
データベース化を目指したヒトメラノーマ特異的RNA干渉分子療法の開発
Project/Area Number |
24791168
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
中井 章淳 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (80453108)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | メラノーマ / 分子治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は、メラノーマにおける新規で有効な治療法として、世界に先駆けてMitf特異的siRNAをマウスのメラノーマに導入し、アポトーシスを誘導することで抗腫瘍効果を確認した(Gene Therapy 2007)。それを発展させ、本研究では種々の色素性もしくは無色素性ヒトメラノーマ細胞株でMitfの発現レベルを調べ、一方で、より有効と考えられるヒトMitf-M特異的siRNAを細胞株に導入し、Mitf発現抑制による抗腫瘍効果を確認する予定であった。治療効果が腫瘍のMitfレベルと相関していることがわかれば、患者腫瘍のMitf発現レベルを予め調べることでsiRNAの治療効果が予測できる。すなわち治療適応となる患者の選択が可能な新規創薬の開発につなげることを研究の目的とした。 ヒトMitf-Mを標的にしたsiRNAの構築は不可能であった。そのためCRISPR/Cas9システムを用いてMitfをノックアウトすることにした。ヒトMitfのvariant4を標的としたCRISPR/Cas9-Mitfを6種類(No.1-6)合成した。HMV-II、G-361、SK-MEL-28のヒトメラノーマ細胞株にNo.1-6をリポフェクション法を用いin vitroでそれぞれ導入した。細胞数と細胞のヴァイアビリティに有意な差はみられなかった。そこで導入効率の高い電気穿孔法を用いてNo.1-6を導入した。No.4のCRISPR/Cas9-MitfをHMV-IIに導入したところ、ヴァイアビリティはコントロールCRISPR/Cas9の約13%に抑えられた。上記3種のメラノーマ細胞株の定常状態でのMitfの発現をヒトメラノサイトを基準として比較したところ、無色素性メラノーマであるSK-MEL-28では発現が低く、色素性メラノーマであるHMV-IIでは発現が高かった。しかし色素性メラノーマであるG-361では発現が低かった。ヒトメラノーマにおいてもMitfを抑制することで、細胞株によっては抗腫瘍効果の得られる可能性はあると考えられた。一方、メラノーマ細胞株のMitfの発現レベルは色素産生能によらない可能性もあると考えられた。
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