2013 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝性プロテアソーム不全症である中條-西村症候群の病態解明と酵素補充療法の試み
Project/Area Number |
24791170
|
Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
国本 佳代 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (10438278)
|
Keywords | 中條-西村症候群 / プロテアソーム / PSMB8遺伝子 |
Research Abstract |
中條-西村症候群は遺伝性プロテアソーム機能不全症として位置づけられる疾患である。申請者は本疾患患者の主治医であり、病態解明に向け、本年も患者検体を用いた研究を中心に行った。平成24年度には中條‐西村症候群患者の末梢血単核球におけるユビキチンの細胞内、特にリソソーム内の蓄積を確認するとともに、 MHC classIIの発現異常を見いだし、特異抗体による認識の違いからHLA-DRの構造異常を想定したが、PSMB8変異に関連する有意なヒッチハイク変異はみられなかった。特異抗体による認識も安定せず、細胞表面発現が不安定という結論に至った。平成25年度は、京都大学iPS細胞研究所で進行している患者由来iPS細胞の解析に平行して、患者末梢血単球および不死化B細胞を用いて、様々な刺激に対するサイトカイン産生をELISAで測定し、iPS細胞由来細胞との比較を行った。その結果、IFNgamma刺激によるIP-10産生は末梢血単球とiPS由来単球で共通に健常者細胞に比べ有意に高値を示したが、不死化B細胞では一定しなかった。また不死化B細胞のプロテアソーム活性についてキットを用いて測定した結果、患者由来細胞では健常者あるいはヘテロ変異を持つ両親由来細胞に比べてキモトリプシン様活性の低下を認めた。以上の結果から、末梢血単球のIFNgamma刺激によるIP-10産生と不死化B細胞におけるキモトリプシン様活性の低下が、中條-西村症候群の病態を反映する指標になると考えられた。今後、これらの実験系を指標に、正常プロテアソームの補充や異常beta5iサブユニットの発現抑制による病態改善効果の検討を進めたい。また、中條-西村症候群の特徴である脂肪萎縮の病態を反映すると想定される血清中のアディポサイトカインであるレプチンとアディポネクチンについて、抗IL-6受容体抗体製剤投与前後での活性を検討中である。
|