2013 Fiscal Year Annual Research Report
天疱瘡の新治療に向けたIgGサブクラス解析とIgG4除去療法
Project/Area Number |
24791175
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
舩越 建 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (80365353)
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Keywords | 天疱瘡 / IgG4 / 治療 |
Research Abstract |
天疱瘡に対する治療について、過去の研究の多くは自己抗体の抗原認識部位である可変領域に注目して来たが、われわれは自己抗体の定常領域の違いであるIgGサブクラスに注目し、IgGサブクラス除去療法に向けた研究を実施した。本研究では、天疱瘡自己抗体サブクラス(IgG1, IgG4)を定量できる方法を確立し、尋常性天疱瘡と落葉状天疱瘡患者における抗デスモグレイン(Dsg)3抗体、抗Dsg1抗体のIgG4サブクラスの増加が示され、IgGサブクラス解析により総IgGに占めるIgG4の割合の上昇が示された。さらに、IgG4を除去することにより、表皮細胞解離アッセイで病原性を低下させることが示された。一方で器官培養における病原性の評価は、実験系が不安定であり、評価可能な結果が得られなかった。また、IgG4産生が上昇している疾患活動期の天疱瘡患者においては、IgG4陽性メモリーB細胞が増加していることが確認された。これらの結果より、さらに同一患者における疾患活動性とIgG4の相関について、病初期・寛解導入期・寛解期におけるIgG4値を測定し、複数の患者で検討したが、一定の傾向はみられていない。さらに症例を増やして解析を実施している。 本研究は天疱瘡治療におけるIgG4吸着除去療法が有効である可能性を示した点に意義がある。免疫抑制療法が主流である天疱瘡治療において、将来的にはIgG4除去療法、または抗IgG4抗体治療により、免疫抑制を伴わない安全かつ有効な治療へと繋がる重要な研究である。IgG4関連疾患においてステロイドが著効することから、IgG1とIgG4の量比が治療反応性と相関する可能性があり、治療反応性に関する解析は今後検討すべき重要な課題である。
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