2012 Fiscal Year Research-status Report
新規の弾性線維形成因子の探索と弾性線維再生への応用
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24791181
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Research Institution | Hoshi University |
Principal Investigator |
里 史明 星薬科大学, 薬学部, 助教 (10468580)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 弾性線維 / 光老化 / リジルオキシダーゼ |
Research Abstract |
組織の柔軟性に寄与する弾性線維の低下はしわやたるみ、動脈の硬化に深く関与する。このことから、弾性線維の保護・再生はアンチエージングとして高齢者のQOLを高めることが期待される。しかしながら、弾性線維の形成機序が非常に複雑なことからその解明は遅れており、新たなブレークスルーが必要と考えた。そこで本研究では、新規の弾性線維構成促進因子の探索と新規因子の機能を明らかとすることにより、効率的な弾性線維の再生を目指す。本年度は、日光弾性線維症でみられる弾性線維の異常沈着に着目し、胎児期または老年期のヒト由来皮膚線維芽細胞株に紫外線を照射し、紫外線による細胞外マトリックス遺伝子の発現変動をDNAチップを用い解析した。その結果、既に報告されているMAGPやバーシカンの発現上昇が確認された。しかしながら、エラスチン発現に変動は認められなかった。新規に紫外線照射時において発現が上昇する遺伝子としてLysyl oxidase-like 2、Fibulin2などを同定し、また老年期皮膚線維芽細胞において発現が低下する因子としてLysyl oxidase-like 3など数種の遺伝子を同定した。そこでまず、Lysyl oxidase (LOX)、Lysyl oxidase-like (LOXL) 1-3に着目し、各遺伝子のクローニングを行った。すでにクローニングは完了しており、LOX並びにLOXL1の安定発現細胞株は作製が完了している。現在、LOXL2並びにLOXL3の安定発現株の作製を試みている。また、各遺伝子の発現抑制株の作製も行っている。LOXとLOXL1の過剰発現株の解析に関し、LOX過剰発現は弾性線維形成を著しく促進させる一方、LOXL1過剰発現は弾性線維形成の促進を認めなかった。。これらの結果からもLOXファミリーの弾性線維形成における役割が異なることが予想された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
紫外線照射時における胎児期または老齢期皮膚線維芽細胞の遺伝子発現変動解析は既に終了しており、その中でも既に弾性線維に関連すると予想されるLysyl Oxidaseファミリーのクローニング並びに過剰発現細胞の作製が一部終了し、機能解析も順調に行っている。ただし、予想に反し発現を認めない遺伝子もあり、解析の遅延が予想される。一方、遺伝子発現抑制株の作製が順調に進捗しており、こちらの解析によっても目的を達成できると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
既に解析中のタンパクに関しては申請書に記載の通り推進する予定である。これまで、弾性線維との関連報告が皆無であるマトリックスをコードする遺伝子もいくつか同定しており、新規弾性線維成分であるか否かを昨年度と同様に検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
申請書に記載した通り、今年度の研究費は培養関係、リコンビナントタンパク作製試薬代、抗体代などの消耗品が大半である。また、これまでの成果を学会発表するための旅費(海外、国内)に使用する予定である。
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