2012 Fiscal Year Research-status Report
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24791183
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
今井 康友 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (10529514)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | IL-27 / サイトカイン |
Research Abstract |
近年、乾癬に対する治療薬として抗 IL-12/23p40 抗体が用いられるなど、炎症性皮膚疾患における CD4+Th17 細胞に対する研究は飛躍的に進歩した。しかし、CD8+Tc17 細胞については、皮膚炎への関与およびメカニズムの解析はされていなかった。IL-27 は IL-12/23 と類似の構造をとるサイトカインで、申請者らは IL-27 が Th2 抑制作用をもつことを 以前に報告している。CD8+T 細胞については、IL-27 は Tc1 細胞への分化を促進することが知られているが、Tc17 細胞に対する IL-27 の役割は明らかではなく、IL-27 投与 によって IL-17 依存性の皮膚炎が抑制できるのかも明らかではない。そこで、皮膚炎モデルにおいてTc17 細胞について検討し、また、マウスの皮膚炎がIL-27によって改善するか否か解析 し IL-27 の in vivo での働きを明らかにすることを目的とする研究を開始した。Tc17 細胞の機能解明に関しては、 IL-27が in vitro で CD8+Tc17 細胞によるIL-17などの種々のサイトカイン分泌を抑制できることを見いだした。Tc17 細胞に分化した後ではIL-27によって抑制されるサイトカインと抑制されないサイトカインがあることも明らかになった。in vivoでは、接触過敏においてTc17細胞が活性化していることが判明した。次の研究目標であるIL-27 による皮膚炎の治療に関しては、IL-27 を過剰発現する IL-27Tg マウスでは接触過敏が減弱することを見いだした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
IL-27 を過剰発現する IL-27Tg マウスでは接触過敏が減弱するというインパクトの高い表現型を既に得ており、これらの詳細ついては、10th Meeting of the German-Japanese Society of Dermatologyならびに日本アレルギー学会秋季学術大会において、それぞれ学会発表を行った。この件に関しては今年度中に、論文投稿予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
IL-27 を過剰発現させた個体において炎症性皮膚疾患の症状が軽減していることが判明し、研究は順調に進展していると言える。そこで、さらに、組織的な解析、血中および皮膚に浸潤するリンパ球の表面マーカーを中心とした免疫染色、二光子励起レーザー顕微 鏡を用いた GFP マウス由来 Tc17 細胞のリアルタイム動態観察、リンパ節や脾臓における 血球系のフローサイトメトリーによる解析、ELISA 法を用いた血中 IgE の測定、血中サイトカインおよびケモカインの濃度の測定、リンパ節ならびに脾臓のリンパ球が各種刺激によって産生するサイトカインおよびケモカインの濃度測定、PCRによるサイトカインやシグナル分子の解析などの免疫学的解析を実施していく。さらには、接触過敏モデル以外の種々の皮膚炎モデルについても、IL-27による皮膚炎の抑制という本研究課題のアイデアが応用できるのかなどの種々の解析を行っていきたい。ヒトの乾癬やアトピー性皮膚炎などの炎症性皮膚疾患における表皮・真皮・末梢血における Tc17 細胞などの種々のリンパ球の局在ならびに発現量について解析し、重症度(PASI や SCORAD)との関係を検討するなど、臨床への応用を目指していきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消耗品費としての試薬、特にフローサイトメトリーに対応した蛍光色素 標識モノクローナル抗体、マウスの表現型解析のための免疫組織染色に用いる抗体、サイトカイン濃度測定に用いるプロテインアレイやPCR試薬などが必要である。マウスの 飼料等を含む飼育費が必要となるが、平成 25 年度は、炎症性皮膚疾患マウスの解析を行うため、より多くの飼育費が必要である。患者さんのデータに関しては匿名化を行うためデータベース構築費が必要である。 次年度は、論文投稿予定であることから、国内外での情報収集および成果発表の経費、論文投稿、掲載料等の経費が必要である。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Knocking-in the R142C mutation in transglutaminase 1 disrupts the stratum corneum barrier and postnatal survival of mice.2012
Author(s)
Nakagawa N, Yamamoto M, Imai Y, Sakaguchi Y, Takizawa T, Ohta N, Yagi N, Hatta I, Hitomi K, Takizawa T, Takeda J, Tsuda T, Matsuki M, Yamanishi K
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Journal Title
J Dermatol Sci
Volume: 65
Pages: 196-206
Peer Reviewed
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