2012 Fiscal Year Research-status Report
注意欠如多動性障害患児に対する薬物治療終了時期判定のための客観的指標の開発
Project/Area Number |
24791201
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石井 礼花 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (40609020)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 注意欠如多動性障害 / 近赤外線スペクトロスコピイ / 塩酸メチルフェニデート |
Research Abstract |
目的:注意欠如多動性障害(attention deficit hyperactivity disorder : ADHD)は、小児期に最も多く見られる精神疾患で、薬物治療として、特に塩酸メチルフェニデート(MPH)の治療が有効とされる。しかし、長期服用の副作用として低身長、思春期における薬物乱用などの問題が指摘されているにも関わらず、症状改善後の薬物治療終了時期の判定のための基準は示されていないことが問題となっている。そこで、本研究では近赤外線スペクトロスコピィ(Near-infrared spectroscopy; NIRS)を用いて、薬物治療の終了時期判定における客観的指標を開発することを目的とする。 平成24年は主にデータ収集を行った。臨床試験参加者を外来にて治療継続し、MPHが臨床的に有効と考えられる小児ADHD患者に対しMPHを1年間継続した。①1週間休薬→②休薬後の臨床評価(医師の薬効評価(CGI-S))・心理検査/NIRS検査をADHD患児に対して行った。健常群にもNIRS検査実施。健常群にも比較対照群としてNIRS検査実施。 <NIRS検査>NIRS検査をベースラインと一年内服後1週間休薬して、患児に対して実施した。同様の間隔にて健常児にも施行した。抑制課題を実施し、その間の脳活動をNIRSにて計測した。 <現在までの結果>ADHD群14名、健常群15名で、統計解析を行なったところ、以下のような結果が得られたが、目的のためには更なる検討が必要である①ベースラインの未内服でのアセスメントでは、健常児群とADHD群の酸素化ヘモグロビン変化量は、有意に差が認められた。②MPHを一年間内服して1週間休薬した14名の酸素化ヘモグロビンの変化量は、健常児群の酸素化ヘモグロビン変化量と差が認められなくなった。③酸素化ヘモグロビンの変化量CGIスケールとの相関は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年間の追跡期間があるとdrop out率は高まるが、注意欠如多動性障害の児14名、健常児15名と解析可能な人数までデータ収集を行うことができた。また解析も一通り行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はさらに解析を進め、論文化して今年度中の出版を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究参加者への謝金、データ整理のための研究補助員の雇用費、解析用ソフト、英文校正費、論文出版費、学会発表のための旅費に使用予定である。
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