2013 Fiscal Year Annual Research Report
染色体工学を用いた精神疾患モデルマウスの統合的解析
Project/Area Number |
24791212
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
野村 淳 広島大学, 医歯薬保健学研究院, 特任助教 (70406528)
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Keywords | 精神神経疾患 / CNV / 染色体工学 / ゲノム編集 / ジーンターゲティング / コピー数変異 / 発達障害 / ES細胞 |
Research Abstract |
CNVs(Copy Number Variants: コピー数変異)は,SNPs(Single Nucleotide Polymorphism: 一塩基多型)とは異なり,1キロベースからメガベースに渡る染色体レベルでの欠失,重複,挿入を意味する. 本研究は,発達障害患者の大規模ゲノムデータから得られた,『発達障害と有意な相関が認められた新規CNV』を対象に,患者の染色体レベルの変異(欠失)を反映させた胚性幹(ES)細胞および発達障害モデル動物の作製を目的とした.ヒト患者のCNVを反映させたモデル動物の作製は,その技術的難解さから,成功例は未だ数例にとどまっている.しかし,CNVと精神疾患の関係は遺伝学的解析から近年報告が急増しているため,ヒトCNVを反映させた動物モデルの作製は『精神疾患の病態生理の理解』,『創薬』といった面で必須と言える. 本研究で対象とするヒト15番染色体は,500キロベースを超える巨大な領域であり,7つの遺伝子を含む.領域に含まれる7遺伝子のうち3つの遺伝子は現在まで機能が未知,また5遺伝子についてはノックアウトマウスが作製されておらず個体レベルでの機能も不明である.ゲノム情報による解析を進めた結果,本研究が対象とする(ヒト)染色体領域は,マウスの7番染色体領域に高度に保存されている事が明らかとなった.なお実際に,ターゲットとしたマウス染色体の改変操作には,染色体工学を適用した.本手法は,マウスES細胞を用い,対象とする染色体領域両末端にLoxP配列を相同組み換え法により挿入,その後,Creタンパク質を強制発現する事によりターゲット染色体領域を除く技術である.今回,本技術を適用し,ターゲットのマウス7番染色体領域両末端にLoxP配列を挿入,Creタンパク質の発現によりターゲット染色体領域を欠損するES細胞を樹立した.これまで染色体改変ES細胞に際立った表現型は認められないが,さらなる解析をES細胞で進めるとともに,染色体改変マウスの作製も進める予定である.
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Research Products
(2 results)