2015 Fiscal Year Annual Research Report
摂食障害の認知の神経基盤と治療の有効性に関する脳機能画像研究
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24791213
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
三宅 典恵 広島大学, 保健管理センター, 講師 (70548990)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 摂食障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
摂食障害は重症化が深刻な問題であるが,有効な治療法は確立されておらず,病態解明が重要課題である.摂食障害では,中核の精神病理として体型や体重と自己評価に関する情報の認知機能に障害が認められており, 摂食障害の病態を生理的な脳機能局在から理解する必要がある. アレキシサイミアは神経性無食欲症(AN)患者で高率に認められる性格特性であり,AN患者にみられる認知の障害と密接に関連している可能性が提唱されている.本研究は,対人関係ストレスに関連した単語刺激課題遂行時の脳活動をfMRIを用いて測定し,AN患者におけるアレキシサイミア傾向に関連した脳領域を検討することを目的とした.右利きの女性AN患者と健常女性を対象に,MRI装置を用いて対人関係ストレスに関連した単語刺激の認知課題遂行中の脳活動を連続的に撮像した各被験者には,TAS-20やEDI-2にて,心理学的・行動学的特徴の評価も行った.AN患者の対人関係ストレスに関する不快な情動の認知障害に前頭前野の関わりが示唆された.TAS-20スコアが高いAN患者ほど対人関係ストレスに関連した不快な単語の認知処理中の扁桃体,後帯状回,前帯状回の活動が低いことが示され,アレキシサイミアが重要な一因となっている可能性が示唆された. また,摂食障害は若年者の受診も多くなっており,低年齢化も進んでいる.今後の摂食障害の発症予防のために,摂食障害傾向の実態を把握することが必要である.広島県内の小学生,中学生,高校生を対象に無記名での摂食態度に関する質問紙調査を実施した。本調査より,摂食障害のハイリスク者は女子では中学生から増加している可能性が考えられた.摂食障害予備軍といわれる発症リスクの高い児童が多数潜伏しているといわれており,学校保健と連携して,早期予防や早期発見が必要であると思われた.
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