2012 Fiscal Year Research-status Report
自閉症スペクトラム障害の≪機能的連関≫障害仮説に関する発達脳科学的研究
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24791218
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
土居 裕和 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (40437827)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 自閉症スペクトラム障害 / 機能的連関 / 乳児 / 脳波 |
Research Abstract |
近年の研究により、高次脳機能の発現においては、単一の脳機能部位の働きではなく、脳機能部位間の機能的な結びつきの強さ=≪機能的連関≫が重要であることが明らかにされつつある。自閉症スペクトラム障害(ASD)患者において異常が認められる機能の多くは、脳機能部位間の≪機能的連関≫により実現されることが明らかになっている。したがって、≪機能的連関≫障害がASDの本質的病因である可能性がある(≪機能的連関≫障害仮説) 本研究は、ASD患者およびASDハイリスク乳児を対象に脳波計測を行い、脳波データを基に評価した≪機能的連関≫の強さとASD症状の関連解明を主たる目的としている。 平成24年度は、健常者を対象に長崎大学医学部に設置された高密度脳波計を用いて、Go/NoGo課題(Beste et al, 2011)および視聴覚情報統合課題を遂行中の脳機能活動を計測した。さらに、脳波解析ソフトウェアであるFieldTrip, sLORETA, EEGLabを連動させた機能的連関評価系を立ち上げたほか、乳児の脳波データ収集用の実験設備をセットアップした。乳児研究に関しては、新たに、生物学的運動と呼ばれる特殊な運動刺激認知が、乳児期の自閉症罹患リスクの行動学的マーカーとなる可能性を見出した。そこで、乳児を対象とした脳機能計測では、当初計画に加え、生物学的運動認知時の脳機能的連関評価を実施することとし、生物学的運動認知時の脳機能活動計測用刺激を作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は、脳波データ計測・解析系の立ち上げと、健常被験者を対象としたデータ収集を完了した。現在は、成人ASD患者のリクルートと、乳児被験者の脳波データ収集を行っている。研究対象者確保はスムーズに進んでいることから、研究は概ね順調に進展しており、研究期間内での目的達成は十分可能であると見込まれる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度以降は、成人ASD患者のデータ収集、及び、健常群・疾患群の機能的連関の群間比較を行い、機能的連関障害仮説を検証する。また、健常乳児のデータ収集と並行し、ASDハイリスク乳児のリクルート・データ収集を実施する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度までに、本研究計画の実施に必要な研究設備・ソフトウェアは導入済みである。このため、平成25年度は、主として研究被験者謝金、及び、研究成果の対外公表のための論文校閲費・旅費に研究費を充当する予定である。
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