2013 Fiscal Year Research-status Report
PTSDモデル動物におけるNFκBを標的としたバイオマーカー探索研究
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24791225
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
吉井 崇喜 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50468261)
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Keywords | PTSD / ストレス / 神経科学 / MRI / VBM |
Research Abstract |
心的外傷後ストレス障害(Post-traumatic stress disorder; PTSD)は重度のストレス暴露後に発症するとされている疾患である。患者を対象としたVoxel-based morphometry (VBM)解析においては前部帯状回や島皮質、扁桃体、海馬などに萎縮の報告がある。一方で、上記は患者を標的とした後ろ向き解析であり、疾病に先立つストレスによって生じた変化なのか、患者側の素因による形態差なのか判然としない側面がある。我々は上記についてストレスとの因果関係を検証するため、PTSDモデルストレスを負荷した動物での頭部MRI画像におけるVBM解析を行った。 【方法】7週令の雄性SDラットに対しPTSDモデルストレスとしてsingle-prolonged stress(SPS;拘束2時間・強制水泳20分・エーテル麻酔)を負荷し、対照(Sham)群についてはエーテル麻酔のみ負荷した。7TのAgilent社製動物用MRI装置により全脳の高解像度3D-T2強調画像を撮像し、Statistical Parametrical Mapping 8 (SPM8)のextension toolであるVBM8を用いて灰白質体積の比較を行った。 【結果】両側視床腹側、右側視覚野、右側扁桃体などに萎縮を認めた。(実験群;n=7, 対照群;n=9 uncorrected P<0.001) 【考察】動物を用いた実験では年齢・性別・ストレス内容・生育環境のいずれも完全にマッチしており、ヒトを対象としたものよりも検出力が高いと推察される。しかし、今回の研究ではヒトによる疾患研究と機能的に同じ部位が必ずしも検出されていない。疾患の病態生理にはストレスの影響のみではなく、遺伝的なストレスへの脆弱性を議論する必要はあると思われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
動物MRIの撮影条件の決定に約1年間の年月を要旨、本格的なデータ採取の開始が遅延してしまっている。また、現段階の研究内容では統計処理を行った結果の信頼性は不十分であり、さらなる実験個体数の増加が必要となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
実験個体数を増やし実験群・対照群それぞれ個体数を20匹程度とすることを目標とする。また、血液中のコルチコステロンを測定し、これを共変量としてMRIデータとあわせた解析も企画する。 VBMは全脳網羅的解析であるため、有意差が出にくい解析であるため、上記を遂行した上で、扁桃体等に関心領域を設定したより検出力の高い解析も企画する。 上記の後、余力があれば顕微鏡解析による形態的変化に関する検証を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
動物MRI撮影に際して高精細な画像が必要となり、撮影条件の決定に約1年程度要した。結果として、約1年程度の研究計画の遅延を生じ、このため未使用額が発生した。 動物MRIの実験個体数を増やす必要があり、動物代20万円程度画筆用と見込まれる。また、コルチコステロン血中濃度測定が必要とされており、試薬代に20万円程度が必要である。解析ソフトウェアの維持費に20万円程度が必要と見込まれる。顕微鏡解析のため、共焦点レーザー顕微鏡のメンテナンスのために40万円程度が必要と見込まれる。その他、諸々の実験試薬やデータ保存のための消耗品、学会発表の旅費、論文の出版に際する諸費用など20万円程度は必要と見込んでいる。
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