2012 Fiscal Year Research-status Report
時間的・空間的遺伝子発現システムと環境要因操作による統合失調症モデルマウスの開発
Project/Area Number |
24791226
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
深見 伸一 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (90424150)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 統合失調症 |
Research Abstract |
統合失調症の発症には、遺伝学的要因と環境要因の両者が寄与しているとされている。しかしながら、遺伝的要因によってどのような発生学的あるいは細胞生物学的な現象が引き起こされ発症要因となっているのかは不明である。また、遺伝的要因によって引き起こされた潜在的なリスクと環境要因との関連性も明らかでない。 本研究では、統合失調症の発症に関与が示唆されるReelinシグナルを胎生期の前頭前野あるいは海馬原基の神経幹/前駆細胞にて操作し、一部の患者脳で観察されるようなニューロンの微細な層構造異常を起こしたマウスの作製を行った。Reelinシグナルの操作には、レセプターであるApoER2と細胞内アダプタータンパクであるDab1の選択的スプライシングバリアントの強制発現を通じて行い、それぞれの発現効果を解析した。さらに、遺伝子導入時期に依存した層構造異常の位置や細胞運命決定への影響を免疫組織化学的解析により調べた。また、環境要因として母体ウイルス感染を模倣するためpolyI:Cを妊娠マウスに投与したマウスの作製を行った。統合失調症の中間表現型として感度が優れているとされるPrepulse Inhibition (PPI)を指標にpolyI:Cの投与により表現型に有意差が認められなくなる濃度の設定を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基礎データとして胎児の発生時期の違いによるApoER2及びDab1の選択的スプライシングバリアント発現効果を概ね評価できた。また、polyI:Cの投与濃度の設定ができたことで、次年度で行う遺伝学的要因と環境要因を組み合わせたマウスを作製するために必要な情報を得ることができたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
Reelinシグナルを操作することにより引き起こされるニューロンの微細な層構造異常が、マウスの行動学的評価にどう影響するのか検討する。評価した項目で表現型が観察されない場合、polyI:C投与との組み合わせたマウスの作製を行う。これにより遺伝学的な要因単独による微細な層構造異常と行動異常の因果関係あるいは、環境要因であるpolyI:C負荷と層構造異常による遺伝・環境の両者の要因が重なった場合の行動学的因果関係が明らかになると考えられる。行動学的表現型が検出されない場合は、電気生理学的解析や免疫組織学的解析により何らかの異常の増悪があるか否かを検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
マウスの購入や飼育費用、分子生物学的実験に使用する試薬や免疫組織科学的解析のための抗体購入などに大部分を使用する予定である。その他は、情報収集や発表のための学会参加のための旅費に使用する。
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Research Products
(2 results)