2013 Fiscal Year Annual Research Report
GABA機能に着目した統合失調症の認知機能障害の病態解明と神経生理学的指標の確立
Project/Area Number |
24791228
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
高橋 隼 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (10508021)
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Keywords | 統合失調症 / 認知機能 / GABA機能 |
Research Abstract |
本研究では、統合失調症におけるGABA機能障害と認知機能障害の関連およびその進行性変化を明らかにすることを目指し、健常群、発症早期統合失調症群、慢性期統合失調症群を対象に、(1)神経生理学的手法によるGABA機能の評価と認知機能障害との関連、(2)GABA機能障害の進行性変化、を検討した。 平成24年度は主に発症早期統合失調症を対象にGABA機能障害と認知機能障害の関連を検討した。神経生理学的手法として2連発経頭蓋磁気刺激を用い、認知機能評価にBACS(Brief Assessment of Cognition in Schizophrenia)を用いて、発症早期統合失調症群におけるGABA性皮質抑制の減弱と作動記憶の障害の関連を明らかにした(Takahashi et al. Schizophr Res, 2013)。 平成25年度は統合失調症におけるGABA機能障害の進行性変化を明らかにするため、健常群、発症早期統合失調症群、慢性期統合失調症群を対象に横断的検討をすすめた。前年度と同様に2連発経頭蓋磁気刺激を用い、GABA性皮質抑制は統合失調症発症早期群、慢性期群でともに障害されるが、グルタミン酸機能を反映する皮質内促通は慢性期群のみで障害され、皮質内促通は罹病期間と有意に相関した。これらの結果は統合失調症においてGABA神経系は発症早期から障害され、病期の進行とともにグルタミン酸神経系も障害されることを示唆し、関連成果を11th World Congress of Biological Psychiatry、第8回日本統合失調症学会で発表した。 本研究では、統合失調症におけるGABA機能障害と認知機能障害の関連およびその進行性変化が示唆され、これら知見は統合失調症の認知機能障害に対するGABA神経系に関連した早期治療の開発につながる可能性を持つ。
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