2013 Fiscal Year Research-status Report
てんかんミュータント由来胚性幹細胞を用いた胎生期てんかん原生の解明と治療への応用
Project/Area Number |
24791230
|
Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
大津 昌弘 杏林大学, 医学部, 助教 (20510019)
|
Keywords | 胚性幹細胞(ES 細胞) / ヒト側頭葉てんかん / 自然発症モデル動物 / ELマウス / てんかん原性獲得 / 神経幹細胞 / 神経発達異常 / 海馬神経細胞 |
Research Abstract |
発作原性及び、てんかん原性獲得に関わる中枢神経系の初期発達過程の異常を解明するため、日本で樹立されたヒト側頭葉てんかんの自然発症モデル動物であるELマウスを用いた再現性の高い研究アプローチを突破口とすべく、平成25年度の本研究では以下について取り組んできた。1.ELマウスから樹立した胚性幹細胞(ES 細胞)の細胞生物学的な性質を解析する。2.ES細胞から終脳由来神経幹細胞や大脳皮質及び海馬神経細胞を含む神経系細胞を分化誘導する。3.神経幹細胞マーカーの詳細な発現解析を行う。 これらの解析を通じて、ELマウスの発作及びてんかん原性獲得に関わる初期神経発達期の異常をin vitroで検出・再現できる可能性を持つものと考えられる。 これまでに、ELマウス由来胚盤胞から樹立したES細胞は、C57BL/6由来ES細胞と比べて、ES細胞の細胞生物学的諸性質が異なる傾向があり、詳細な解析を進めている。 終脳由来神経系細胞の分化誘導は、分化培養技術Neural Stem Sphere法(NSS法)を基に中枢神経系の発生領域特異的な神経幹細胞の調製を試みた。調製した神経幹細胞の神経幹細胞マーカー発現等を詳細に解析している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ELマウス由来ES細胞の細胞生物学的諸性質を解析したこと、最近、新規性の高い神経幹細胞マーカーが創出されたことが、当初の計画で示した研究の進捗に影響したと言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
<終脳由来大脳皮質及び海馬神経細胞を含む神経系細胞への分化誘導法、維持法の確立及び、得られた神経幹細胞の細胞生物学的性質の解析> 神経発生に伴い、中枢神経系は前後軸及び背腹軸に沿って空間的な特異性を獲得するが、この領域特異化は種々のモルフォゲンと呼ばれる液性因子の濃度勾配によって厳密に制御される。そこで、大脳皮質及び、海馬神経系細胞を得る為、中脳領域を効率よく誘導出来る通常のNSS法にこれらの液性因子を添加する等の改良を行い、終脳領域を含む各領域の神経幹細胞を効率良く誘導する条件を確立する。得られた神経幹細胞の幹細胞としての諸性質及び、機能性神経細胞への分化・成熟化能の解析を種々のマーカー分子の時間、空間的発現変化を指標に比較解析する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ELマウス由来ES細胞の細胞生物学的諸性質を解析したこと、最近、新規性の高い神経幹細胞マーカーが創出されたことが、当初の計画で示した研究の進捗に影響したと言える。 ELマウス由来ES細胞から分化誘導した神経幹細胞の諸性質を詳細に解析することで、初期神経発生での異常を検出したいと考えている。
|