2012 Fiscal Year Research-status Report
レム睡眠行動障害の実態調査とアルファシヌクレイノパチーへの発展予測因子の解明
Project/Area Number |
24791235
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
咲間 妙子(笹井妙子) 東京医科大学, 医学部, 助教 (70419026)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | レム睡眠行動障害 / 国際研究者交流 / REM sleep without atonia / 認知機能 / レビー小体型認知症 / オーストリア |
Research Abstract |
レム睡眠行動障害(RBD)は、筋活動の抑制を伴わないレム睡眠(RWA)と暴力的な行動を特徴とするが、暴力的行動がみられずにRWAのみがみられる症例がある。これをisolated RWAと呼び、これがみられる患者群のRWAの特徴や、明らかなRBDへと発展するか否か明らかでない。24年度は、オーストリアのインスブルック医科大学神経内科チームでのisolated RWA研究に従事し、これまで出されたことのなかったisolated RWAの特徴について、解析を行った。その結果、7/50(14%)ものisolated RWA患者が、RBDの診断基準となるRWA値を上回ることが明らかになった。この診断基準を上回るRWA量を呈する患者群が今後の縦断研究においてどのような病態変化を遂げるか、現在同チームで研究を進めており、当横断研究の成果は、現在国際誌に投稿中である。 さらに、RBD患者は高率に神経変性疾患に移行し、認知機能低下を呈することを受け、RBD患者に認知機能検査(Mini-mental state examination, Montreal cognitive assessment)を行い、夜間ポリソムノグラフィ中の脳波所見、嗅覚検査所見、臨床症状、RWA量が、RBD患者の認知機能にどのように影響を与えるかについて検討した。その結果、同患者における認知機能の低下には、加齢のみならず、嗅覚機能の低下及びレム睡眠中の後頭部における脳波の徐波化が影響することが明らかになった。このことから、RBDにおける脳波所見は、認知機能低下を反映することが考えられ、将来的な認知機能低下群を予測し得る可能性が示唆された。本研究結果は、2013年度にパリで開催されたヨーロッパ睡眠学会で発表し、その後、研究論文を執筆、国際誌SLEEPに投稿・受理され、現在印刷中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、RBDにおけるRWA解析、認知機能検査、嗅覚検査、脳波周波数解析を行い、reasonableな結果が得られており、論文執筆・国際誌発表共に順調である。現在も全ての検査データを取得中であり、今後、さらに例数を増やした系統的な検討が出来ることが予想される。また、レビー小体型認知症で見られる錯視・幻視を確認する検査も同患者で行っており、データ数・質共に満足のいくものであると考える。現時点では、フォローアップ期間が短く縦断研究が出来ないが、初診時に得られた検査結果が今後の病態進行にどのように影響してゆくのか、を明らかにするために、縦断研究の準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
RBD患者において、レビー小体型認知症で見られる錯視・幻視がみられるか否かを明らかにし、コントロール群及びRBD重症患者群との群間比較を行う。認知機能、錯視、共に、どのようなRBDの臨床症状や生理学的所見が関連するのかを明らかにし、神経変性疾患の移行高リスクグループを推定する。 また、初診時に得られた検査結果が今後の病態進行にどのように影響してゆくのか、を明らかにするために、一連の検査を期間を空けて施行し、その変化及び、変化に関連する因子を追求するため、縦断研究を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
・日本睡眠学会シンポジウム発表のため、秋田出張旅費5万 ・世界睡眠学会発表・RBD会議出席のため、バルセロナ出張旅費30万 ・嗅覚検査・認知機能検査・錯視検査施行にあたる人件費及びコントロールの謝金30万 ・論文英文校正費10万
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