2014 Fiscal Year Research-status Report
レム睡眠行動障害の実態調査とアルファシヌクレイノパチーへの発展予測因子の解明
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24791235
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
咲間 妙子(笹井妙子) 東京医科大学, 医学部, 講師 (70419026)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 錯視 / レビー小体型認知症 / 幻視 / 筋活動の抑制を伴わないレム睡眠 / 認知機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
レム睡眠行動障害(RBD)患者において、レビー小体型認知症(DLB)の中核症状の一つである幻視と類似した錯視症状の有無を評価した。認知機能低下のないRBD患者137名、年齢・性別をマッチさせた健常被験者46名に、錯視を誘発するパレイドリア・テスト(黒いシミの中にある人物の顔を見つけるノイズ課題および10枚の風景画を各1分間ずつ提示しその中に見えるものを出来るだけ詳細に叙述させる風景課題)を行った。加えて、終夜ポリグラフィ検査(PSG)、嗅覚検査、認知機能検査(Addenbrooke's Cognitive Examination-Revised: ACE-R)を施行し、錯視出現に関連する要因について検討した。ノイズ課題・風景課題で検出された錯視合計数は、患者群において有意に多かった。ROC分析より、RBD診断カットオフ値は錯視合計数>=1(感度52.2%、特異度80.4%、AUC=0.665)であった。錯視合計数>=1であったものの割合は患者群で有意に高かった(52.2% vs.19.6%, Χ2 =14.866, p<0.01)。また、患者群内で錯視合計数>=1であったものは、認知機能検査成績が有意に低下し、tonicなREM sleep without atonia (RWA)の出現量が多かった。RBD患者では錯視が出現しやすく、認知機能の低下とtonic RWA量の増加が関連していたことから、錯視所見は同患者群における将来的なDLBへの発展リスク群の推定に役立つ可能性がある。本研究結果は、第39回日本睡眠学会および8th RBD symposiumにて発表し、現在国際誌に投稿予定である。 また、RBDと類似性があると考えられているナルコレプシーにおいて、覚醒・レム睡眠期に脳波の徐波化がみられることを報告、国際誌に投稿・受理された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
レム睡眠行動障害におけるレビー小体症との共通所見の探索は順調に進んでおり、検討した各種生理・神経心理所見はレビー小体症への発展の早期予測マーカーとなることが期待される。本邦におけるレム睡眠行動障害患者のレビー小体症への発展率の調査を準備中であり、これまで明らかにした生理・神経心理所見とフォローアップによる実際の発展との関連性を調べることが課題として残っている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者の所属する睡眠専門クリニックにおいて、レム睡眠行動障害患者のリストを作成し、初診時の検査データの整理は完了した。今年度、抽出したリスト上の患者個々に連絡し、研究主旨を説明した上で再診察と再検査を施行し、現在のレビー小体症症状の有無を確認する。これにより、本邦におけるレム睡眠行動障害患者のレビー小体症への発展率の調査を行う予定である。その上で、これまで明らかにした生理・神経心理所見とフォローアップによる実際の発展との関連性を明らかにする。
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Causes of Carryover |
レム睡眠行動障害患者のフォローアップ調査の遅れにより患者の再検査謝金支払いがなかったために生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
フォローアップ調査参加者の再検査の謝金および入力人件費に充当する。
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