2013 Fiscal Year Research-status Report
N-acetylcysteineの精神病発症予防効果の検討
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24791239
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
三宅 誕実 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (60534237)
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Keywords | Nアセチルシステイン |
Research Abstract |
本研究は、統合失調症の発症危険状態(At Risk Mental State: ARMS)に対するN-acetylcysteine(NAC)の精神病発症予防効果を、前向き縦断的研究により明らかにすることを目的としている。本年度は、ARMS症例のエントリーを進め,24週の試験を完了した症例や、4症例のケースシリーズ報告を日本臨床精神神経薬理学会や統合失調症学会で報告した。 NAC (2000mg/日)をオープンラベルで12週間投与した症例に対し,臨床評価を試験開始時,12週後と24週後に実施した。評価項目は前駆症状評価スケール(SOPS),統合失調症認知機能簡易評価尺度(BACS),統合失調症認知評価尺度(SCoRS),UCSD日常生活技能簡易評価尺度(UPSA-B),統合失調症の生活の質評価尺度(SQLS)および核磁気共鳴スペクトロスコピー(MRS)を実施した。本研究は聖マリアンナ医科大学生命倫理委員会の承認を得て,対象者から文書同意を取得した。 【結果と考察】12週までの評価を完遂した4症例のSOPS総得点は,試験開始時43±13点から33.8±12.1点に改善した。BACS総得点のz-scoreは-0.58±1.17から-0.10±1.18に改善した。また,SCoRS得点は5.0±2.8点から3.3±1.5点に改善したが,UPSA-B得点は同様であった。SQLS得点は心理社会関係と動機と活力得点に改善を認めた。MRSでは,背外側前頭前皮質のNアセチルアスパラギン酸/クレアチン比は,ARMSの基準を満たさなくなった(改善した)症例の方がより高かった。以上より,NACはARMSの臨床症状,認知機能,機能的能力や主観的評価への改善効果を有する可能性がある。今後も症例数を増やし、通常治療群との比較や脳器質的進行性変化に対する詳細な検討が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成25年度は、エントリー基準を満たす“純粋な”ARMS症例が6例参加し、試験完了できた。しかし、当初想定していた症例数よりも少ない状況であり、引き続き外来受診の母数を増やすべく、近隣の高校大学やメンタルクリニックへのアナウンスや、講演等で当院の特殊外来や臨床試験のアナウンスをすることを心がけた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、地域新聞等でのアナウンスも予定しており、引き続き症例母数の増加とエントリーに努める。半年間の長期試験であるため、脱落する症例が多い可能性を憂慮していたが、現在のところ脱落例はいない。当初想定したよりもエントリーできる症例数が少ないが、徐々に有意義な結果が得られているため、症例総数を下方修正する可能性はある。また、エントリー症例が学生の場合、学校の予定等で臨床評価の実施が完了できないような症例が増えるようなら、参加施設の追加といった対応を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
症例のエントリーが想定していたよりも少なく経過していることが主な理由と考えられる。 今年度も症例のエントリーを進め、途中経過を国内外の学会にて積極的に発表していく予定であり、物品費、検査費、中間解析や旅費で使用する予定である。
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Research Products
(2 results)