2013 Fiscal Year Research-status Report
DSMー5のチック関連性強迫性障害の妥当性、信頼性、臨床的有用性に関する検討
Project/Area Number |
24791243
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
林田 和久 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (40595419)
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Keywords | 強迫性障害 / チック関連性 / 治療抵抗性 / DSM-5 |
Research Abstract |
本研究では、一般人口中の生涯有病率が2%と高率である強迫性障害(obsessive-compulsive disorder; OCD)について、2013年に改訂されたDSM(diagnostic and statistical manual of mental disorders )-5にて新たなサブタイプとして導入された「チック関連性強迫性障害」の妥当性・信頼性を本邦におけるOCD患者を対象に検証することを目的として実践してきた。研究初年度の平成24年度は、「チック関連性OCD」患者の症候学的特徴のデータを集積し、診断カテゴリーと照らし合わせて整合性を検証し、その妥当性・信頼性に関するデータを学会(第4回不安障害学会学術総会、第108回日本精神神経学会学術総会)で発表すると共に、学術論文(精神科2012; 20、精神科2012; 27)として報告した。これらの報告の中で、「チック関連性OCD」の治療抵抗性に関するデータも得られ、診断カテゴリに関する研究のみではなく、新たな治療法の開発提案こそが我々の課題であると考えた。そこで研究2年目となる平成25年度は、初年度に得られた膨大なデータに関する考察から、「チック関連性OCD」に対して治療効果が高い可能性がある治療プロトコルを考案し、その実践により我々の治療プロトコルの有効性を確認した。この結果は、第109回日本精神神経学会学術総会、第33回日本精神科診断学会で発表し、日本生物学的精神医学会雑誌2013: 24、精神科診断学雑誌2013: 6、精神医学2013; 55、精神科2013; 10で論文投稿により報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の目的であるチック関連性OCDの診断に関する妥当性・信頼性の検証については、結果の集積および検討が完了し、学会発表と論文投稿により達成した。 本研究のもう一つの目標であるチック関連性OCDに対する治療開発については、データ集積および検討は最終段階にさしかかっており、結果等についての学会発表や論文投稿を進めているが、完了には至っていない、
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、多くの治療抵抗性に苦しむチック関連性OCD患者がこの利益を享受できるよう、本研究の成果として有効性が確認された治療プロトコルについて、汎用性を高めていくことを目標としている。現時点で我々の治療プロトコルは高い専門性をもった精神科医のみが利用できるものとなっているが、汎用性を高めるためには強迫性障害を専門としていない医師でも十分に利用可能な治療プロトコルにまとめていく必要があり、そのためにはより多くの医師からの使用感や有効性等についてのフィードバックが不可欠であるため、より多くの学会発表や講演活動を通してブレインストーミングの機会を増やしていく方向性である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究の後半のテーマであるチック関連性OCDに対する治療プロトコルの開発について、その論文が投稿中であるため。 この治療プロトコルは現時点では高い専門性を有する医師のみが利用可能な形となっているが、この利益をより多くの患者に享受してもらうためには、本プロトコルは更なる簡便化により汎用性を高める必要がある。このためにはより多くの学会等を通じて、強迫性障害を専門としていない医師にも広く共有してもらい、その結果として使用感や有効性についてのフィードバックによるブレインストーミングを受ける必要がある。以上により、更なる論文投稿費用、国内外での学会発表等の参加費用および交通費用などが必要となっている。
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