2013 Fiscal Year Research-status Report
抗精神病薬によるシナプス間隙ドーパミン濃度調整メカニズムの解明
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24791249
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
小高 文聰 独立行政法人放射線医学総合研究所, 分子イメージング研究センター, 研究員 (10349582)
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Keywords | 抗精神病薬 / ドーパミン / ドーパミン再取り込み能 |
Research Abstract |
ドーパミントランスポーター(DAT)へ結合する放射性リガンドである[18F]FE-PE2Iを用い、5名の健常男性(25.8±3.4歳)におけるリスペリドンのシナプス間隙ドーパミン濃度への影響を検討した。各被験者はリスペリドン2mgおよびプラセボをそれぞれ別日に服薬後、約120分後にMRI撮像、約180分後に[18F]FE-PE2I を用いたダイナミックPET撮像を行った。また、リスペリドン血中濃度を測定するために、MRIおよびPET撮像直前に静脈血採血を行った。得られたダイナミックPET画像を用い、尾状核および被殻を関心領域として、小脳を参照領域としたsimplified reference tissue model解析により、DAT結合能(BPND)値を求めた。プラセボ投与時とリスペリドン投与時のBPND値を比較した。5名中3名の被験者はプラセボ投与時に比べ約20~25%のBPND値の低下を認めたが、2名のBPND値は軽度低下(約7%)、上昇(約12%)と一定せず、そのためpaired-t 検定による統計解析ではプラセボ群とリスペリドン服薬群間には統計的有意差は認めなかった。我々のL-[beta-11C]-DOPAを用いたリスペリドンのドーパミン生成能への影響を調べた先行研究では、リスペリドン投与後のドーパミン生成能は上昇あるいは低下パターンを示さず、一定方向に収束する傾向が認められた。今回のドーパミン再取り込み能においても、BPND値は単純な上昇・低下パターンを示さなかった。BPND値の変動に一定の傾向があるかを探索するために、平成26年度はリスペリドン血中濃度を取得し、より詳細なMRI画像データを含めたPET画像データ解析を行うことにより、前シナプスにおけるドーパミンの調整メカニズムを明らかにすることを目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
データ取得が予定通り行うことができなかったため。特にリスペリドン血中濃度取得が遅れ最終解析に影響し、最終結果を出せず、1年間の延長申請を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、リスペリドン血中濃度を取得し、より詳細なMRI画像データを含めたPET画像データ解析を行うことにより、前シナプスにおけるドーパミンの調整メカニズムを明らかにすることを目指し、最終報告を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
PET解析の最終結果を得るには、血液検体からリスペリドン血中濃度を算出する必要がある。平成25年度に、血液検体の測定業者までの期間を事前確認したところ2週間程度で可能とのことだったが、平成25年度末(平成26年2月)に最終確認をしたところ、2ヶ月かかるとのことであった。平成25年度内納品が困難であったことから、平成26年度に測定業者に依頼するために、次年度(平成26年度)使用額が生じた。 薬物血中濃度(リスペリドンおよび9-OHリスペリドン)測定費用、および論文作成時の参照用書籍購入費等として全額使用予定。
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