2014 Fiscal Year Annual Research Report
抗精神病薬によるシナプス間隙ドーパミン濃度調整メカニズムの解明
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24791249
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
小高 文聰 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (10349582)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ドーパミントランスポーター / リスペリドン |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は平成25年度に引き続き、ドーパミントランスポーター(DAT)へ結合する放射性リガンドである[18F]FE-PE2Iを用い、健常男性におけるリスペリドンのシナプス間隙ドーパミン濃度への影響を検討した。平成26年度までに6名の健常男性(25.3±3.4歳)が研究に参加し、MRIおよびPET撮像を行った。各被験者はリスペリドン2mgおよびプラセボをそれぞれ別日に服薬後、約180分後に[18F]FE-PE2Iを用いたダイナミックPET撮像を行った。また、リスペリドン血中濃度を測定するために、PET撮像前後に静脈血採血を行った。得られたダイナミックPET画像データを用い、尾状核および被殻を関心領域として、小脳を参照領域としたsimplified reference tissue model解析により、DATのトランスポーター密度を反映するDAT結合能(BPND)値を求めた。プラセボ投与時とリスペリドン投与時のBPND値を比較した。被殻におけるリスペリドン投与時とプラセボ投与時のBPNDの差は統計的に有意な差は認めなかった(paired t-test, p=0.09)。しかし、相関解析をおこなったところ、被殻における各被験者のBPND値の変化率とリスペリドンおよび9-OHリスペリドンの合計血漿中濃度の間には有意な負の相関が認められた(r=0.86, p=0.026)。リスペリドンおよび9-OHリスペリドンの合計血漿中濃度は脳内D2/3受容体占有率を反映しており、シナプス間隙のリスペリドンおよび9-OHリスペリドン濃度を反映していると考えられる。このことから脳内のリスペリドンおよび9-OHリスペリドン濃度が高いほど、DATのBPND値は低下する傾向にある。これはリスペリドンおよび9-OHリスペリドンの濃度が高いほどDAT密度が減少することを示唆している。
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