2013 Fiscal Year Research-status Report
うつ病におけるSSRI治療効果の解明に向けた脳内セロトニン放出量のPET測定
Project/Area Number |
24791250
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
生駒 洋子 独立行政法人放射線医学総合研究所, 分子イメージング研究センター, 主任研究員 (60339687)
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Keywords | PET / セロトニン / 受容体結合能 |
Research Abstract |
うつ病の治療に有効とされているSSRIの作用機序として、前シナプスからのセロトニン放出量の増加が示唆されている。PETを用いた脳機能イメージングでは、前シナプスからの神経伝達物質放出量の増減を、後シナプス受容体の放射性リガンド結合能の変化として捉えることができる。そこで本研究では、精度の高いセロトニン放出量のPET測定法を確立することを目的とする。 平成25年度は、PET画像の定量解析において定量精度劣化の大きな要因となっている検査中の頭部の動きを、測定後の画像処理によって補正する手法を確立した。計60-90分、数十フレームの動態計測において、初期フレーム画像あるいは高カウントフレーム画像を参照画像とし、各フレーム画像を参照画像に相互情報量を用いて位置合わせすることで、フレーム間の位置ずれを補正した。その結果、補正前に見られた時間放射能曲線の不自然な歪みがなくなり、定量精度が大幅に向上した。 本手法を用いて体動を補正することで、次年度行われるセロトニン測定用放射性リガンドを用いた実際のPET測定において、受容体結合能の変化を精度よく定量することが可能となり、PETを用いたセロトニン放出量の測定法の確立に役立つものと思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は、PETによるセロトニン放出量測定のための定量解析法を確立し、実際の測定に向けた環境を整えることを予定していた。現在までに、定量解析法の考案、定量解析に必要なソフトウェアの作成、定量精度向上に必要不可欠な体動補正法の確立まで完了しており、今後は実測データを揃え、セロトニン放出による受容体結合能の変化を評価することとなる。次年度の実測データの収集に向け、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、セロトニン受容体測定用PETリガンドを用いたPET計測を実際に小動物で行い、安静時と薬物負荷によるセロトニンリリース増加時の受容体結合能を提案手法で定量してその変化を調べ、測定感度を評価する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初は、小動物PET測定および解析のためのソフトウェアおよびハードウェアの購入を予定していたが、平成25年度はデータ測定・解析の手法の確立を中心に研究を行い、実測データの解析はほとんど行わなかったため、これらのソフトウェアおよびハードウェアの必要性は低かった。そのため、次年度において、最新版の数値計算用ソフトウェアおよびハードウェアを購入した方がよいと考えた。 次年度において、最新版の数値計算用ソフトウェアおよびハードウェアの購入、および小動物PETの測定に必要な器具の購入に充てる予定である。
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