2015 Fiscal Year Annual Research Report
うつ病におけるSSRI治療効果の解明に向けた脳内セロトニン放出量のPET測定
Project/Area Number |
24791250
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
生駒 洋子 国立研究開発法人放射線医学総合研究所, 分子イメージング研究センター, 主任研究員 (60339687)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | PET / セロトニン / 受容体結合能 |
Outline of Annual Research Achievements |
うつ病の治療に有効とされているSSRIの作用機序として、前シナプスからのセロトニン放出量の増加が示唆されている。PETを用いた脳機能イメージングでは、前シナプスからの神経伝達物質放出量の増減を、後シナプス受容体の放射性リガンド結合能の変化として捉えることができる。そこで本研究では、精度の高いセロトニン放出量のPET測定法を確立することを目的とした。 まず、セロトニン受容体への結合において、前シナプスから放出されたセロトニンと投与された放射性PETリガンドの競合を組み入れた受容体結合モデルを導出し、PET測定で得られる放射能濃度変化を模擬したシミュレーションを行った。その結果、PET時間放射能曲線からコンパートメントモデル解析によって得られた受容体結合能は、セロトニン放出量の増加に伴って減少し、その変化量は、PET測定中に放出されたセロトニン量の積分値と相関することがわかった。 次に、シミュレーションによる解析法の検討結果を基に、小動物のPET測定を行った。セロトニン2A受容体の放射性PETリガンドを用いたPETダイナミック測定を、ベースラインと薬物負荷により人工的にセロトニン量を増加させた場合の2回行い、コンパートメントモデル解析を行ってそれぞれの受容体結合能を算出した。その結果、薬物負荷時は受容体結合能が低下した。以上より、内因性セロトニン量の変化をPETで測定される受容体結合能の変化として捉えられることが明らかになった。
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