2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24791256
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Research Institution | Neuropsychiatric Research Institute |
Principal Investigator |
榎本 みのり 公益財団法人神経研究所, 研究部, 研究員 (60415578)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 睡眠薬 |
Research Abstract |
ベンゾジアゼピン系睡眠薬の常用量依存による長期処方は臨床の現場においても、常に問題とされてきたが、これまで睡眠薬の長期処方の実態についてはエビデンスがないままに論議されてきた。これまでに行われた疫学調査および診療報酬データ調査における睡眠薬などの薬物療法の処方率は、不眠症の有病率と同様に女性で多く、加齢とともに増加することが報告されている。しかし、日本における睡眠薬に関する疫学データはこれまで多人数のものでも、1,871人、16,804人を対象とした調査があるのみで、調査方法も「過去1ヵ月間に、眠るために何らかの薬を用いている」かどうかの自記式アンケート調査であった。本研究では、ベンゾジアゼピン系睡眠薬を含む睡眠薬の長期処方の実態およびその長期処方のリスク因子について、31万人の大規模診療報酬データを用いて2年間の前向き追跡調査を行うことを目的としている。 現在の時点で加入者約31万人の複数の健保団体の大規模診療報酬データを利用し、平成17~22年の間に睡眠薬を初めて処方された成人患者を対象とし、睡眠薬の長期処方の実態を明らかにするために睡眠薬の処方期間と処方量の変動、併用薬剤、処方診療科、診断名、性、年齢との関連を検証し、同じ患者を対象とし、観察期間を1年間とし睡眠薬長期処方のリスク因子を明らかにするために時間依存型Cox比例ハザードモデルを用いて統計解析を行いそれらについて学会発表を行った。またさらに、睡眠薬と抗うつ薬の併用実態についても明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の申請時に研究到達点として挙げた以下の3項目について、1)、2)については学会発表も行い概ね達成している。 1)臨床の現場で問題といわれている常用量依存に関する睡眠薬の長期処方の実態について、約31万人の大規模診療報酬データから検証し、臨床の経験値だけではない客観的疫学データを明らかにする。 2)調査期間中に初めて睡眠薬を処方された患者を対象に2年間の前向き追跡調査を行い、睡眠薬の長期処方に関連するリスク因子について統計解析の手法を用いて明らかにする。 3)睡眠薬の長期処方と処方再開率の関係についても明らかにする。
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Strategy for Future Research Activity |
研究到達点としてあげた2)調査期間中に初めて睡眠薬を処方された患者を対象に2年間の前向き追跡調査を行い、睡眠薬の長期処方に関連するリスク因子について統計解析の手法を用いて明らかにする、3.)睡眠薬の長期処方と処方再開率の関係についても明らかにする。について、現在の解析を継続して本研究を推進していく。 現在の時点で2)については1年間までの追跡調査が終わっているため、2年間に期間を延長して解析を行う。また、これまで発表を行ったものも論文にし海外の学術誌へ発表を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
さらに大規模なデータが解析できるように、統計解析ソフト、データ保存のためのハードディスクを購入する予定である。 また、学会発表のための旅費、学術誌へ投稿する際の英文校正費にも使用する予定である。
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