2012 Fiscal Year Research-status Report
相互作用放射線治療を志向した四次元動体追跡CT技術の開発
Project/Area Number |
24791261
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高尾 聖心 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10614216)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 放射線治療 / 四次元再構成 / CBCT |
Research Abstract |
四次元位相分割CBCT再構成の基礎検討として、北海道大学における過去10年以上に亘る動体追跡放射線治療の経験から得られた体内の動きのデータ(三次元、30Hz)の解析を実施し、動きの特徴を明らかにするとともに投影角度のばらつきの少ない最適な撮像条件について検討を行った。具体的には、実際の患者の動きに対して様々な撮像条件(撮像角度範囲、フレームレート、回転速度等)で撮像を行った場合の各位相における投影角度の分布をシミュレーションし、再構成に必要な投影データが得られるか否かを評価した。その結果、従来機に見られる1方向のみの撮影では長周期の体動に対して撮像データの角度欠損が大きく再構成画質に著しく悪影響を与えることが示されたが、本研究課題で実施する2方向同時撮影の場合は投影データの欠損が抑えられ、各位相において再構成に支障ない投影角度分布が得られることが示された。 以上の検討に基づき、株式会社日立製作所日立工場内に設置の回転撮影試験装置を用いてファントム撮影実験を実施した。まず始めに、静止した画質評価ファントムおよび人体ファントムを撮影し、装置基本特性の評価を行った。続いて、四次元位相分割再構成を実施するための基礎データとなる、動体ファントムを用いた動体撮影を行った。ここでは、周期・振幅の異なる様々な動きのパターンに対して複数の撮像条件で撮影を実施し、動きの特徴と撮影条件・画質の関係を明らかにすることを目的とした。なお、本実験では動きの特性の影響を明確化するため、ファントムの動きは一方向とした。本撮影で得られたデータは当初の計画通り平成25年度に解析を行う予定である。 また、CBCTは診断用CTと比較して低速度・長時間の撮影となるため、長周期の体動(ベースラインシフト)が大きく画質に影響する。そのため、ベースラインシフトの解析を新たに実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題において最重要の実施内容である四次元位相分割CBCT再構成のための基礎検討を当初の計画通り実施した。四次元再構成の実現可能性を検証するため、体動の特性と投影角度分布の関係を明らかにし、平成25年度に実施する四次元位相分割再構成への見通しを示した。また、低回転速度・長時間の撮影を行うCBCTでは非周期・長周期の体動(ベースラインシフト)が大きく影響することも検討に追加し、ベースラインシフトに対する解析も新たに実施した。 二対の透視撮像系を用いた撮影実験も当初の計画通り実施した。アーチファクトの低減や低線量撮影の実現可能性検討のための撮影に加えて、ベースラインシフトの影響を評価するための撮影も実施し、平成25年度に実施する再構成アルゴリズム改良に向けての基礎データを取得した。 以上により、当初の研究計画通り研究は進捗し、所定の目的が達成されていると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度に実施した基礎検討および取得した撮影実験データに基づき、四次元位相分割CBCT再構成を実施する。二方向から同時撮影されたマーカーの三次元空間座標算出からその座標に基づく位相分割および位相分割再構成に至るまでの一連の手順を確立し、四次元位相分割CBCT再構成を実現する。また、この中で発生する種々の課題、具体的には三次元空間座標算出に用いる金マーカーに由来する金属アーチファクトへの対応や疎なデータからの画像再構成、あるいは被曝線量低減を目的とした低線量撮影データからの画像再構成等に対応するため、再構成アルゴリズムの開発・改良を並行して実施する。 また、四次元位相分割CBCTの臨床応用への道筋を示すため、放射線治療における高精度位置決めや線量分布評価へのCBCT画像の適用可能性や有用性について検討する。具体的には、CBCT画像を用いた三次元位置合わせの高度化や、非剛体レジストレーションを用いた線量分布評価を実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は四次元位相分割CBCT再構成を実施し、また再構成アルゴリズムの改良を並行して進めるため、画像再構成用ワークステーションを導入する。なお、ソフトウェアは既存のプログラミングソフトウェアを用いて開発する。また、平成25年度は研究成果報告のための学会出張費および論文投稿費・英文校正費に研究費を使用する。また、解析結果の記録・保存のために大容量ハードディスクドライブおよび記録メディアを購入する。 なお、一部の平成24年度購入品の仕様検討および機器選定に時間を要したため支払いが平成25年度となったが(納品は平成24年度中に完了)、既に執行済みである。
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