2012 Fiscal Year Research-status Report
扁平上皮癌の発育進展および放射線感受性に関する時計遺伝子DECの機能
Project/Area Number |
24791265
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
清野 浩子 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 助手 (30598727)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 扁平上皮癌 / 時計遺伝子 / 治療 |
Research Abstract |
時計遺伝子DEC1とDEC2は全身のあらゆる臓器で発現し、日内リズム、免疫や癌化、低酸素応答、アポトーシス、組織分化の制御など、多彩な制御機能をもつ。また、正常組織よりも癌組織で高発現している。本研究では扁平上皮癌の増殖進展およびアポトーシス、放射線(X 線)感受性に関する時計遺伝子DEC の機能を解析する。すなわち、時計遺伝子高発現細胞と時計遺伝子ノックダウン細胞における浸潤・増殖・アポトーシスを解析するとともに、時計遺伝子発現がX 線照射に及ぼす影響を解明し、将来的には生物時計を考慮した扁平上皮癌の新たな分子標的、日内リズムを利用した放射線治療への応用を目指す。 今回我々は、ヒト扁平上皮癌手術例標本において、DEC1が、非腫瘍部と比較して高発現していることを免疫染色において示した。また、Invasion assayやMigration assayを用いて、ヒト癌細胞において、DEC1発現が浸潤能や遊走能と正の相関を示すことを明らかにした。高濃度血清刺激法により、ヒト癌細胞において、DEC1が概日リズムを形成する知見も得た。これらの結果から、時計遺伝子であるDEC1がヒト癌細胞・ヒト組織の発育進展機構に需要な役割を果たしていることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト癌細胞を用いて、培養細胞レベルで時計遺伝子発現の意義を明らかにする。対象とする時計遺伝子の発現検討は、我々が機能解析を行ったDEC遺伝子 (DEC1, DEC2) にとどまらず、CLOCK, BMAL, PER, CRYといったその他の時計遺伝子を含めた。 1.生物時計が刻む概日リズム解析は、培養細胞レベルでは同調因子として、高濃度 (50%) 血清刺激を用いた。ヒト癌細胞株に高濃度血清刺激を与えて、個々の細胞のリズムを同調させることにより、概日リズムを誘導させ、各種の時計遺伝子の概日リズム発現の変動を、リアルタイムPCR、ウエスタン・ブロット法で解析する。機能発現の高い時計遺伝子を明らかにした。 2.ヒト癌細胞における時計遺伝子と抗アポトーシス因子・細胞増殖因子・血管新生遺伝子との関連の解析を始めた。癌細胞における代表的な血管内皮増殖因子である、vascular endothelial growth factor (VEGF) に加えて、HIF (hypoxia-inducible factor)-1 の概日リズム発現ならびに時計遺伝子発現との関連を検討した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、前年度からの研究継続・発展ができ、ヒト培養細胞株を用いて、細胞レベルでの時計遺伝子発現の意義の一端を明らかにすることができた。このため、 平成25年度は培養細胞レベルでの研究をさらに進展させることに重点を置きたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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[Journal Article] The BHLH transcription factor DEC1 plays an important role in the epithelial-mesenchymal transition of pancreatic cancer.2012
Author(s)
Wu Y, Sato F, Yamada T, Bhawal UK, Kawamoto T, Fujimoto K, Noshiro M, Seino H, Morohashi S, Hakamada K, Abiko Y, Kato Y, Kijima H.
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Journal Title
Int J Oncol.
Volume: 41
Pages: 1337-1346
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Smad3 and Snail show circadian expression in human gingival fibroblasts, human mesenchymal stem cell, and in mouse liver.2012
Author(s)
Sato F, Sato H, Jin D, Bhawal UK, Wu Y, Noshiro M, Kawamoto T, Fujimoto K, Seino H, Morohashi S, Kato Y, Kijima H.
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Journal Title
BiochemBiophys Res Commun.
Volume: 419
Pages: 441-446
Peer Reviewed
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