2013 Fiscal Year Research-status Report
扁平上皮癌の発育進展および放射線感受性に関する時計遺伝子DECの機能
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24791265
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
清野 浩子 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 助手 (30598727)
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Keywords | 癌 / 概日リズム / DEC / アポトーシス |
Research Abstract |
本年度は、ヒト扁平上皮癌細胞株におけるbHLH型転写因子DEC1・DEC2の発現・機能を、分子生物学的手法を用いて解析した。用いた細胞株は、分化度の異なるヒト食道扁平上皮癌細胞株(TE-10とTE-5)とヒト口腔扁平上皮癌細胞株(HSC-3, CA9-22)である。我々は、2種類の食道癌細胞株に対し、DEC1 knockdownを行い24時間後にタンパクを回収しウェスタンブロットで確認したところ、DEC1がcyclin D1を制御していることが判明した。同様の結果は、舌癌細胞株(HSC-3)においても認められた。これらの結果から、DEC1がcyclin D1を制御して、ヒト扁平上皮癌の概日リズムを制御していることが示唆された。さらに、これら4種類のヒト扁平上皮癌細胞株(TE-10, TE-5, HSC-3, CA9-22)に対しシスプラチン処理の下、DEC1 knockdownあるいはoverexpressionを行い、DEC1がアポトーシスに及ぼす影響を検討した。その結果、DEC1はTE-10ではアポトーシス促進性に働くのに対し、TE-5やHSC-3およびCA9-22においては明らかなアポトーシス作用が認められないことが判明した。次に我々は、4種類の細胞株に対してシスプラチン処理の下、DEC2 knockdownあるいはoverexpressionを行った。この結果、DEC2はHSC-3ではアポトーシス抑制性に働くのに対し、TE-10やTE-5およびCA9-22においては明らかなアポトーシス作用を示さないことが判明した。以上の結果から、DEC1・DEC2のアポトーシス作用に関しては、細胞株や分化度の違いにより異なる可能性があることを解明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト扁平上皮癌細胞を用いて、培養細胞レベルで、時計遺伝子による概日リズムの制御・アポトーシスへの影響を明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、前年度からの研究継続・発展ができ、ヒト培養細胞株を用いて、細胞レベルでの時計遺伝子発現の意義の一端を明らかにすることができた。 平成26年度は、研究計画に基づき、培養細胞レベルのみならず、ヒト扁平上皮癌手術例標本を用いて、研究を更に進展させることに重点を置きたい。
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Research Products
(3 results)