2012 Fiscal Year Research-status Report
炭素イオン線による悪性脳腫瘍の走行性とその分子機構の解明
Project/Area Number |
24791275
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
吉田 由香里 群馬大学, 重粒子線医学推進機構, 助教 (90431717)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 重粒子線 / 遊走 / 悪性脳腫瘍 |
Research Abstract |
悪性脳腫瘍は高い増殖性と遊走性という特徴を持っており、脳内を浸潤性に広がるため治療が困難である。放射線照射に伴う”遊走・浸潤”による機序や、これを抑止し阻害するための方策の手掛かりを解明することは、脳腫瘍における今後の放射線治療の向上にとって重要な課題である。本研究はX線および炭素イオン線照射による悪性脳腫瘍細胞の走行性(遊走・浸潤能)の影響について定性的・定量的に評価することを目的として実験を行った。 O6-メチルグアニンDNAメチルトランスフェラーゼ (MGMT)遺伝子発現の異なるヒト神経膠芽腫細胞4種を用いてX線または炭素イオン線を照射し、継時的にサンプルを回収して増殖および遊走能について解析した。今年度までに得られた結果は、1.照射後の細胞の遊走能についてwound-healing assayにより評価した結果、X線および炭素イオン線の単回照射は神経膠芽腫細胞の遊走能を線量依存的に亢進した。2.照射した細胞を24時間培養した後に各線量ごとに培地を回収し、その培地を用いて非照射細胞を培養した結果、非照射細胞の遊走能は照射線量に依存して亢進が認められた。照射1週間後の培地を用いた実験からも同様な結果が得られた。3.遊走能の亢進には照射した細胞から放出されたグルタミン酸が関与していることが示唆された。4.遊走能の亢進にはMGMT遺伝子の発現が関与していることが示唆された。 遊走能の亢進における炭素イオン線のLET依存性および分割照射効果については現在解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで炭素イオン線照射により腫瘍細胞の遊走・浸潤性は抑制されるのか促進されるのかはっきりとしていなかった。本研究における現在までの研究結果から、X線および炭素イオン線照射は、神経膠芽腫細胞の遊走能を亢進することが明らかとなった。また、遊走能に関与する分子の一部を明らかにすることができた。炭素イオン線の線質および照射回数の違いと神経膠芽腫細胞の走行性との相関関係について明らかにすることに関してはまだ達成できていないが、現在解析中であるため予定期間内には明らかにできるものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
神経膠芽腫細胞における走行性に関する線質効果および分割効果について、早急に解析を進める。また、今年度までに結果として得た走行性に関与する分子に特に着目し、さらに詳細なメカニズムの解明を推し進める。 これら成果について速やかに英語論文化して国際誌に研究成果を報告するとともに、国内外の医学・生物学領域の学会での講演発表を積極的に行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
細胞培養に関する消耗品、解析に必要な薬剤やキットなどの薬品類・実験器具類、動物購入・飼育に関わる費用等への使用を計画している。また、日本国内および国際学会におけるいくつかの学会での成果発表に必要な交通費・宿泊費、また論文投稿料および英文校正費等への使用を計画している。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] Synergistic effect of heat shock protein 90 inhibitor, 17-allylamino-17-demethoxygeldanamycin and X-rays, but not carbon-ion beams, on lethality in human oral squamous cell carcinoma cells2012
Author(s)
Musha A, Yoshida Y, Takahashi T, Ando K, Funayama T, Kobayashi Y, Negishi A, Yokoo S, Nakano T
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Journal Title
J Radiat Res
Volume: 53
Pages: 545-550
Peer Reviewed
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[Presentation] 正常組織と腫瘍の炭素線分割照射効果の比較2012
Author(s)
吉田由香里, 安藤興一, 小池幸子, 鵜澤玲子, 安藤謙, 村田和俊, 吉本由哉, 武者篤, 久保亘輝, 河村英将, 松本孔貴, 平山亮一,古澤佳也, 高橋健夫, 大野達也, 中野隆史
Organizer
第47回群馬放射線腫瘍研究会
Place of Presentation
群馬
Year and Date
20120929-20120929
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[Presentation] 炭素イオン線分割照射効果に関する正常組織と腫瘍の比較2012
Author(s)
吉田由香里, 安藤興一, 小池幸子, 鵜澤玲子, 安藤謙, 村田和俊, 吉本由哉, 武者篤, 久保亘輝, 河村英将, 松本孔貴, 平山亮一, 鈴木義行, 古澤佳也, 高橋健夫, 大野達也, 中野隆史
Organizer
第50回日本放射線腫瘍学会生物部会学術大会
Place of Presentation
沖縄
Year and Date
20120629-20120630
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[Presentation] Biological gain of fractionated carbon-ion radiotherapy for tumor growth delay and crypt survival2012
Author(s)
Y Yoshida, K Ando, S Koike, A Uzawa, K Ando, K Murata, Y Yoshimoto, A Musha, N Kubo, H Kawamura, Y Matsumoto, R Hirayama, Y Suzuki, T Takahashi, T Ohno, T Nakano
Organizer
Particle Therapy Co-Operative Group (PTCOG) 51
Place of Presentation
韓国
Year and Date
20120517-20120519