2012 Fiscal Year Research-status Report
Dual-energy CTの被ばく線量解析および多角的線量最適化手法の構築
Project/Area Number |
24791279
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
松原 孝祐 金沢大学, 保健学系, 助教 (30507372)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | X線 / コンピュータ断層撮影 / 被ばく / 最適化 / エネルギー |
Research Abstract |
Dual-energy CT(DECT)の被ばく線量を人体等価ファントムを用いて評価を行い,Single-energy CT(SECT)の被ばく線量との比較を行った.装置に表示されるCT線量指標(CTDIvol)を同一にしたところ,胸部・腹部撮影ともに,SECTの被ばく線量が有意に高くなった.断面内吸収線量分布は,DECTのうち,高管電圧側に錫(Sn)フィルタが付加されていない条件(140+80kV)で,特に腹部において表面の線量が高く,中心部の線量が低くなり,この傾向は,他の条件のDECT(100+Sn140kV,80+Sn140kV)やSECTとは明らかに異なっていた.線量分布の違いは画質にも影響を及ぼし,表面の線量が高いことの画質への利点は少ないため,DECT施行時には,高管電圧側にSnフィルタを付加した条件を使用することが望ましい. また,DECTの物理的画質評価をワイヤファントムおよびキャリブレーション用ファントムを用いて行い,SECTとの比較を行った.その結果,DECTの解像特性およびノイズ特性は,ともにSECTと比較してわずかに劣ることが確認された.一方,DECT画像のCT値とコントラストノイズ比(CNR)は,低管電圧画像と高電圧画像の合成割合によって変化し,CNRが最も高くなる合成割合においては,SECTより優れたCNRを示した. 以上より,DECTはSECTと比較して解像特性やノイズ特性がわずかに劣るものの,より低被ばくでの撮影を施行することができ,かつ診断に適したCT値,CNRを有する合成画像を提供することが可能である.これらの結果は,今後DECTの適用を決定する上で必要不可欠なデータである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の研究実施計画として,DECTの被ばく線量評価および物理的画質評価を行う予定としていたが,これらは予定通り終了し,有益な結果が得られているため,おおむね順調に進展していると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き,X線CT検査において一般的に用いられているCT自動露出機構(CT-AEC)の,DECT施行時における動作特性の解析および被ばく線量の解析を行う. CT-AECの動作特性の解析は,既に購入済のCT線量アナライザ(CTDP)を用いて行う.CTDPを楕円型ファントムの中心部に挿入し,ファントムをCT-AEC併用下でDECT撮影しながら,時系列での線量データを取得する. また,被ばく線量の解析は,平成24年度と同様の方法で,蛍光ガラス線量計および人体等価ファントムを用いて行う.この時,出力線量を制御する際の基準となるQuality reference mAsを一定にする.得られた画像について,同時にノイズ特性の評価も行う. その後,造影CT検査における検査全体の被ばく線量低減を目的として,Virtual non-contrast(VNC)画像の特性評価および臨床的有用性の検討を行い,VNC画像の臨床応用の可能性について明らかにする. 以上の研究を通して,医療効果とのバランスを考えた被ばく線量の最適化の実現を目指していく.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
①CT-AECの動作特性の解析に際し,楕円型ファントムが必要であることから,その購入費用に充てる. ②研究を円滑に進めるために,国内外の学術集会で本研究に関する最新の学術情報を収集するとともに,学術集会での発表を通して研究成果をいち早く世界に発信するために,国内・国際学会への参加費用および旅費に充てる. ③研究成果を欧文誌に掲載し,社会性を持たせるために,論文投稿に関わる経費に充てる. ④その他,研究の遂行に必要な消耗品の購入費用に充てる.
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