2013 Fiscal Year Research-status Report
Dual-energy CTの被ばく線量解析および多角的線量最適化手法の構築
Project/Area Number |
24791279
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
松原 孝祐 金沢大学, 保健学系, 助教 (30507372)
|
Keywords | X線 / コンピュータ断層撮影 / 被ばく / 最適化 / エネルギー |
Research Abstract |
X線CT検査において,現在一般的に用いられている被ばく線量最適化ツールであるCT自動露出機構(CT-AEC)の,Dual-energy CT(DECT)施行時における動作特性の解析および被ばく線量の解析を行った.その結果,基本的な動作は通常のSingle-energy CT(SECT)施行時と変わらないものの,以下の動作特性および被ばく線量の違いを見出すことができた. 1)体格の小さい被検者に対しては,出力線量の指標となるQuality reference mAs値を上げることによって被ばく線量が増加し,それに伴い画像ノイズ量が低減するが,その傾向はDECTとSECTでは異なり,DECT間でも管電圧の組み合わせによって異なる. 2)体格の大きい被検者に対しては,Quality reference mAs値を上げても,被ばく線量の増加や画像ノイズ量の低減は徐々に頭打ちとなり,特にDECTでその傾向が顕著に現れる.その理由として,DECTでは低エネルギー側のX線管の管電流値がすぐに上限に達してしまい,Quality reference mAs値に適合しない管電流値に決定されてしまうことが挙げられる.したがって,CT-AECとDECTの組み合わせは,特に体格の大きい被検者に対しては不適切である. 以上より,DECT施行時にCT-AECを使用する際には,Quality reference mAs値と被ばく線量や画像ノイズ量との関係がSECTとは異なることを理解した上で使用する必要がある.また,体格の大きい被検者にDECTを適用する場合の対応策として,CT-AECを使用せずに,オペレータが手動で管電流値を設定することにより,診断に必要な画質を担保できる場合もある.この点については,引き続き検討を行う予定である.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の研究実施計画として,CT自動露出機構のDual-energy CT施行時における動作特性の解析および被ばく線量の解析を行う予定としていたが,これらは予定通り終了し,有益な結果が得られた.また,今後の研究の推進方策を立てる上で重要なデータも併せて取得することができた.以上より,本課題は現在までおおむね順調に進展していると考える.
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き,多角的線量最適化手法の構築に向けて検討を進める. 最終年度である平成26年度は,造影CT検査における検査全体の被ばく線量低減を目的として,Virtual non-contrast(VNC)画像の特性評価を,ファントムおよび臨床画像(100症例を集めることを目標とする)を用いて行う.併せて,撮影条件や作成時相(造影剤注入後,どのタイミングで撮影した画像を用いてVNC画像を作成するか)の最適化に関する検討も行い,VNC画像の臨床応用の可能性について明らかにする. その後,3年間の研究成果をとりまとめ,医療効果とのバランスを考えた被ばく線量の最適化の実現に向けた,具体的な多角的線量最適化手法の提言を行う予定である.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初,購入を予定していた楕円型ファントムを,近隣施設より借り入れることができた.その結果,平成26年度に実施を予定しているVirtual non-contrast(VNC)画像の特性評価に用いるファントムについて,当初自作のものを用いる予定であったが,平成25年度分の助成金を持ち越して,平成26年度に購入することとした.また,研究成果を欧文誌に掲載することを目指しているが,その作業が遅れているため,その論文投稿に関わる費用に持ち越しが生じた.以上の理由により次年度使用額が生じた. 1)Virtual non-contrast画像の特性評価に用いるファントムの購入費用に充てる. 2)研究を円滑に進めるために,国内外の学術集会で本研究に関する最新の学術情報を収集するとともに,学術集会での発表を通して研究成果をいち早く世界に発信するために,国内・国際学会への参加費用および旅費に充てる. 3)研究成果を欧文誌に掲載し,社会性を持たせるために,論文投稿に関わる経費に充てる.
|