2012 Fiscal Year Research-status Report
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24791280
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
萱野 大樹 金沢大学, 大学病院, 助教 (10547152)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 甲状腺癌 / 残存甲状腺組織 / 131I / 99mTcO4- / SPECT/CT |
Research Abstract |
本年度は、分化型甲状腺癌のために甲状腺を全摘された患者で初回の131I内用療法を施行された患者を対象として、99mTcO4-シンチグラフィと131I内用療法時画像との比較を行い、99mTcO4- シンチグラフィで131I内用療法後画像と同程度に残存甲状腺組織を検出できるかどうかを検討した。また、99mTcO4-シンチグラフィは一般的に行われている平面像に加えてSPECT/CT撮像を行い、残存甲状腺組織の検出におけるSPECT/CTの付加的意義について検討した。 計13例の分化型甲状腺癌患者で、99mTcO4-シンチグラフィの後に初回の131I内用療法が施行された。131I内用療法後画像では、13人全例で合計23個の残存甲状腺組織が検出された。99mTcO4-平面像では、13例中10例(77%)の患者で23個中16個(70%)の残存甲状腺組織を検出できた。99mTcO4- SPECT/CTでは、13例中12例(92%)の患者で23個中19個(83%)の残存甲状腺組織を検出できた。99mTcO4-シンチグラフィでは、平面像のみでもある程度の残存甲状腺組織の検出が可能であるが、SPECT/CT撮像を行うことによりさらに検出感度が向上することが明らかとなった。また、平面像のみでは集積部位の正確な位置を把握することは困難であったが、SPECT/CTでは集積部位の正確な同定が可能であった。 これらの結果から、99mTcO4- SPECT/CTが甲状腺全摘出後の残存甲状腺組織の同定に有用である可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究目的である、甲状腺全摘出後の初回131I内用療法時の残存甲状腺組織の検出における99mTcO4-シンチグラフィの有用性および SPECT/CTの付加的意義について評価することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
甲状腺癌で甲状腺を全摘された場合でも、微小な甲状腺組織(残存甲状腺組織)が高率に残る。初回の131I内用療法が施行された症例では、この残存甲状腺組織が焼灼されるため、131I内用療法前と比較して残存甲状腺組織は消失または減少する。このため、残存甲状腺組織の検出は初回の131I内用療法前と比較して困難となることが予測される。次年度の研究では、131I内用療法後の残存甲状腺組織の有無の評価に、99mTcO4-シンチグラフィが有用かどうかを検討する。 初回の131I内用療法の半年から1年後に、99mTcO4-シンチグラフィと診断的131Iシンチグラフィが施行された患者、および、99mTcO4-シンチグラフィと2回目131I内用療法が施行された患者を検討の対象とする。99mTcO4-画像と131I画像の比較を行い、初回131I内用療法後の残存甲状腺組織の検出率を比較する。2名の核医学専門医が、131Iシンチと99mTcO4-シンチそれぞれにおいて残存甲状腺組織の評価を行い、各シンチ間での一致率を調べる。 従来から残存甲状腺組織の評価に用いられている放射性ヨードは、検査前に1から2週間のヨード制限が必須である。ヨード制限の患者への負担は想像以上に大きく、ヨード制限が上手くいかないために検査が失敗に終わることもしばしば経験する。99mTcO4-では、このヨード制限が不要となるため、患者に負担を伴うことなく検査を行うことが可能である。本研究において、99mTcO4-シンチグラフィで残存甲状腺組織の検出が十分に可能であることが示されれば、患者の得られるメリットは非常に大きく、日常臨床において非常に大きなインパクトがあると確信する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は物品、成果発表を含む旅費等で研究費を使用したが、効率的な執行により21,179円を次年度に助成金として繰り越した。次年度は、主に解析用ソフトの購入費、成果発表のための旅費、印刷代として使用する予定である。
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Research Products
(1 results)