2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24791283
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
小坂 一斗 金沢大学, 医学系, 助教 (80547175)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 癌ステムセル / 原発性肝癌 / 混合型肝癌 / CT / MRI |
Research Abstract |
集積した肝幹細胞由来肝癌(n=24)を2010年のWHO消化器腫瘍分類に基づき3型に分類し、これらのうち、血管造影下CTが施行されている症例[Typical subtype(n=5)、Intermediate-cell subtype(n=2)、Cholangiolocellular subtype(n=4)]の画像所見を検討した。すなわち肝動脈造影下CT(CTHA)は早期相・後期相の2相で撮像するプロトコールでデータ収集がされており、病変の早期および後期造影効果を検討した。 typical subtypeでは2例で古典的肝細胞癌と類似した早期濃染~洗い出し像(コロナ濃染)を認め、Intermediate-cell subtypeの1例では古典的胆管細胞癌類似のリング状濃染~中心部への濃染域拡大を認めた。その他の結節では早期濃染~持続濃染する特徴を認めた。これは古典的肝細胞癌や古典的胆管細胞癌とは異なる画像所見である。組織学的には規約のごとく種々の程度に腫瘍間質の線維性造影が見られた。線維の多寡と後期造影効果に関連が示唆された。増殖形態に関しては一定の傾向は見られず、結節型、結節周囲増殖型、多結節癒合型が見られた。線維性被膜形成はTypical subtype1例にのみ認めた。typical subtypeの1例で明瞭な線維性被膜を有し、cholangiolocellular subtypeの1例で部分的な線維性被膜を認めた。そのほかの結節は圧排性あるいは置換性発育を示した。 今回の検討では肝幹細胞由来肝癌は画像的にも古典的肝細胞癌と古典的胆管細胞癌の中間の性質を有することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
H24年度は肝幹細胞由来癌と診断された症例を亜分類し、その画像所見のうち、動注CTを中心に検討を行った(実績概要参照)。動注CTは一般的な検査ではない。よって動注CTで得られた所見をより臨床に即した検査方法(静脈性ダイナミックCTおよびMRI所見)にどこまで反映されるのか、その比較・検討が間に合っていない。またMRIではT2強調像、拡散強調像は別の画像情報を提供する可能性が高い。 今回の検討の遅れた理由は、肝幹細胞由来癌の病理所見に基づいた亜分類の正確性・妥当性の検証に時間を要したためである。WHO規約ではこれらの腫瘍の組織学的特徴を子細に述べられているが、具体的な診断基準の明言はされていない。本学の形態機能病理学講座と協議し基準を設け、適宜その妥当性を検討しながら進めていく方針である。
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Strategy for Future Research Activity |
まず一般的な検査である静注CT, MRIを用いた血流解析を行う。動注CTで得られた知見が静注CT, MRI検査でどれほど有用か検証する。加えて、遅延像所見(CT, MRI)、脂肪・Feの有無、T2強調像、拡散強調像の所見(MRI)を検討する。肝細胞機能(Gd-EOB-DTPA造影MRIが施行されたもの)、網内系機能(SPIO造影MRIが施行されたもの)に関しても所見を適宜検討する。 組織学的検討では血管のvascularityの検討と腫瘍間質の細分類(線維の密度、分布、凝固壊死や液化壊死など)の検討を行う。さらにこれらの所見と画像所見とを対比し、画像所見からの組織像の類推の可否を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今回繰越金が発生した理由は購入予定であったコンピューター機器一式が他の研究で利用していたものが利用可能であった為である。しかしながら今年度の利用は出来ないため、購入する予定である。今年度使用予定であった以下の1-3に、4.コンピュータ一式を追加する。 1.組織検体の作成費(プレパラート代など) 2.免疫染色費(試薬代など) 3.学会旅費、論文校閲、統計データ校閲費など 4.コンピュータ一式
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