2012 Fiscal Year Research-status Report
細胞修復阻害と腫瘍内酸素化を用いた神経芽腫内照射療法の抗腫瘍効果増強
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24791285
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
若林 大志 金沢大学, 大学病院, 医員 (60622818)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 神経芽腫 / 131I-MIBG / カフェイン |
Research Abstract |
131I-MIBGは神経芽細胞腫に対する内用療法の治療製剤として臨床利用されており、腫瘍細胞内へ集積して殺細胞効果を発揮する。本研究は、内照射療法の治療効果増強獲得を目的として、プリンアルカロイドの1種であるカフェインの殺細胞効果と131I-MIBGとの相互作用の詳細を検討した。 ヒト神経芽細胞腫由来細胞株SK-N-SHを37℃、5%CO2条件下で培養し、この細胞を24ウェル細胞培養用マルチウェルプレートに1ウェル辺り1×105 cells/ml播き、カフェインを0.1mM、1mM、10mM、20mM、40mMで負荷し、無負荷をcontrolとしてカフェイン投与後3、6、24、48時間後に細胞数を測定した。カフェイン投与後、全実験群において分散分析で有意に差を認めた(P<.0001)。Dunnett法を用いてコントロール群と比較を行うと3時間後では40mM(P<.0001)、6時間後で20mM(P<.0001)と40mM(P<.0001)、24時間後と48時間後で10mM (P=.0001、P<.0001)、20mM(P<.0001、P<.0001)、40mM (P<.0001、P<.0001) を負荷した群で細胞数の低下を認めた。この結果から、カフェイン負荷に伴う131I-MIBG摂取阻害も確認するために、約3.7kBq/μlの131I-MIBGを1μl投与したものをcontrolとし、カフェイン1mMを131I-MIBG投与の1時間前、同時、1時間、6時間、24時間後に加えて131I-MIBG摂取率を測定した。その結果、全負荷群でそれぞれ有意にカフェインによって131I-MIBG摂取率低下が確認され(P=0.0004、P<.0001、P=0.002、P=0.02、P=0.001)、カフェインの負荷に伴う131I-MIBGの細胞外排泄の関与も考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
SK-N-SHヒト神経芽細胞腫細胞株を用いて、カフェインの抗腫瘍細胞効果、放射線増感作用の詳細を検討した結果、カフェインの神経芽細胞腫細胞株に対する殺細胞効果が期待できる反面、131I-MIBGの細胞外排泄を示唆する結果が得られた。その結果に伴い、ヌードマウスへのカフェイン投与のタイミングを模索する過程で131I-MIBGの細胞外排泄を考慮し、カフェインを131I-MIBG投与と同時、または投与後に用いることで治療効果を向上できると考察した。 次年度はヌードマウス担癌モデルを用いて131I-MIBG体内分布も検討しながら内用療法の治療効果が向上できるプロトコールを模索する。
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Strategy for Future Research Activity |
担癌ヌードマウスを用いてトレーサ量の131I-MIBGを投与し、前年度得られた実験結果からカフェインの131I-MIBGの細胞外排泄作用を考慮してその体内分布を経時的に観察する。また、カフェイン投与のタイミングを複数設定するとともに段階的に投与量を増加させて、MIBG体内分布に対する影響とともにカフェインの抗腫瘍細胞効果、放射線増感作用の詳細を検討していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究継続にあたり、放射性医薬品(131I-MIBG)とヌードマウスに要する費用が主な費用となる。また、用いる腫瘍細胞の継続的継代のための培地(試薬に含む)・血清・滅菌ディスポプラスチック製品、放射能測定のための消耗品購入や研究調査、成果発表のための学会旅費に使用する。余剰金に関しては、効率的な予算執行により端数が生じたため未使用額となった。
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