2013 Fiscal Year Annual Research Report
高比放射能C-11標識体を得ることが可能な簡便な新規合成法の開発とその応用
Project/Area Number |
24791287
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
高島 好聖 浜松医科大学, メディカルフォトニクス研究センター, 助教 (70525592)
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Keywords | 有機放射化学 / 一酸化炭素 |
Research Abstract |
11CO(一酸化炭素)は、医薬品や生理活性物質に高い頻度で出現するカルボニル構造を構築するための有用な放射性シントンである。複数のグループにより11COを用いる標識反応開発が報告されているが、特殊な合成装置を使用したり、操作が煩雑であったりして、現状では限られた施設でしか利用することができない。研究者は、既存の方法に比べて簡便な、ボロン酸エステルと11COから[11C]安息香酸エステルの合成する反応を開発中である。本研究では、反応条件を最適化し、どのような施設でも実現可能な手法を確立することにより、合成可能なPETプローブの化学構造の充実を目指す。実現できれば、柔軟な分子設計が可能となり、新たに生み出されるPETプローブからイメージング研究の発展に貢献できることが期待される。 初年度は、①11COの製造、②11COカルボニル化反応による安息香酸エステル、ベンズアミドの合成について検討した。その結果、①モリブデンを875℃に加熱することで、11CO2(二酸化炭素)から1COを再現よく得ることが可能となった。②ボロン酸エステルを前駆体として用いる11COカルボニル化反応は、予備実験から、11COの捕集効率が低い点、また、大過剰のアルコールを利用する点に問題があった。そこで、アルコールの等量を減らした上で、10種類の配位子について捕集効率を検討し、90%以上の高い捕集効率を示す配位子を同定できた。最終年度は、更なる反応条件の最適化を目指して反応に用いる金属の検討を行ったが、現在までに用いた酢酸パラジウムが最もよいことが明らかとなった。本研究を通して、11COの捕集効率を大きく改善し、どのような研究施設でも実施可能な手法を確立したが、反応の応用については、更なる研究が必要な状況である。
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