2012 Fiscal Year Research-status Report
仮想化内視鏡を用いた胃癌の新規診断法の確立と、リンパ節検出CADシステムの開発
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24791290
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
古川 和宏 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (70624310)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 仮想化内視鏡 / コンピュータ支援診断 / 胃癌 / リンパ節転移 |
Research Abstract |
仮想化内視鏡による上部消化管病変に対する病変描出率を評価し、上部消化管スクリーニング及びがん検診への応用の可能性について検討を行った。 術前病期診断のために64列MDCTでダイナミックCTを撮影した胃癌患者のうち、上部消化管内視鏡検査を施行した159症例167病変を対象とした。仮想化内視鏡像は名古屋大学大学院情報科学研究科で開発されたソフトウェア(NewVES)を用いて作成し、1胃癌の描出率、2胃癌以外の上部消化管病変における描出率の評価を行った。評価は、病理結果、内視鏡所見を知らない観察者により行われた。 1胃癌の描出率は、全体で68.3%(114/167)であった。肉眼型別では、0-I型、0-IIa型、0-IIa+IIc型、0-IIb型、0-IIc型、0-IIc+III型、進行型でそれぞれ75.0%(3/4)、57.1%(8/14)、73.3%(11/15)、0%(0/4)、41.3%(26/63)、80.0%(4/5)、100%(62/62)であった。深達度別では、T1a、T1b、T2以深でそれぞれ40.3%(27/67)、73.2%(30/41)、96.6%(57/59)であった。2胃癌以外の上部消化管病変として、胃潰瘍もしくは胃潰瘍瘢痕(32病変)、ポリープ(12病変)、胃粘膜下腫瘍(6病変)、胃腺腫(6病変)、びらん性胃炎(5病変)を認め、描出率はそれぞれ34.4%(11/32)、33.3%(4/12)、33.3%(2/6)、16.7%(1/6)、20.0% (1/5)であった。偽陽性は7例、4.4%であった。 胃癌において、0-I型、0-IIc+III型のような高低差のある病変や進行型、進行癌の描出率は良好であった。早期癌や胃癌以外の上部消化管病変の描出率は低く、偽陰性が多いため、仮想化内視鏡のスクリーニングやがん検診への応用については、今後さらなる技術の進歩が必要であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
病変検出や診断のために適切な撮影条件の検討:16列、64列MDCTで撮影された画像を元に仮想化内視鏡を作成し、胃癌診断能の比較を行った。 仮想化内視鏡およびMPR像における胃癌の造影効果と病理検体の比較:症例の登録を終了し、現在解析中である。 腹部リンパ節検出CADシステムの開発:名古屋大学大学院情報科学研究科で改良を行っており、その診断能について検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
腹部リンパ節検出CADシステムに対してさらなる改良を行い、臨床応用が可能な精度にまで高めていく。 仮想化内視鏡及びMPR像における胃癌の造影効果と病理所見の比較を行い、仮想化内視鏡を用いた深達度、組織型診断を体系化する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
腹部リンパ節検出CADシステムに対して、新たな画像処理法の開発もしくは既存の画像処理法の改良により、正診率の向上及び偽陽性率の減少を目指す。 腹部リンパ節検出CADシステムにより検出されたリンパ節をもとに病期診断を行い、病理結果と対比することで診断能を検討する。 仮想化内視鏡及びMPR像における胃癌の造影効果と病理検体の比較を行い、深達度や癌の組織型、潰瘍や線維化による造影効果の影響について検討する。
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Research Products
(4 results)