2013 Fiscal Year Research-status Report
GPGPUを用いた高速・高精度ノイズ除去処理技術の脳画像研究への応用
Project/Area Number |
24791296
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大石 直也 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (40526878)
|
Keywords | MRI / PET / 脳 / ノイズ除去 / non-local means / GPGPU |
Research Abstract |
核磁気共鳴画像法(MRI)や陽電子放出断層撮像法(PET)に代表される脳画像研究の進歩は、神経科学や臨床医学の発展に大きく寄与してきた。しかし、ハードウェアや撮像時間の制約に伴う画像の信号雑音(ノイズ)は解析や解釈上の障害となっている。このような現状を鑑み、申請者はノイズ除去性能が高い一方、計算コストが高く通常の手法では医用応用が困難であった3D Non-local means (3D-NLM) filter等の高精度ノイズ除去アルゴリズムをGPGPU (General Purpose GPU)で高速化させるソフトウェアを開発した。本研究の目的は、このノイズ除去ソフトウェアをヒトおよび動物の脳MRI・PETに適応し、基礎・臨床応用の可能性を明らかにすることにある。 平成25年度では、前年度に導入した高性能GPUを有するコンピュータおよびバージョンアップしたソフトウェアをもとに、ラット構造MRIに適応した。他大学と共同研究を行っている7テスラ小動物用MRIを用いた、脳疾患モデルラットにおける灰白質萎縮の高精度評価を検証した。結果としては、3D-NLMを用いることでセグメンテーションの精度向上を認め、灰白質萎縮の評価時の重要な前処理である空間的平滑化の程度を縮小化させる、すなわち、空間分解能向上を図ることができた。 さらに、昨年バージョンアップしたCUDA 4.2から5.5に変更の上で、ソフトウェアをバージョンアップした。現在、1名の健常被験者に対して、1mmおよび0.5mmの高空間分解能構造MRIおよびDWI撮像を行った。また、認知症や精神科疾患患者における構造MRIを本3D-NLM処理することでセグメンテーションの精度向上や皮質厚計測の精度が向上することを検証した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①ラット・マウスの構造MRI を用いたNLM ノイズ除去フィルタ性能の検証に関して。ラットについては7テスラMRIを用いた検証もすでに行えており、計画以上の進展である。一方、マウスは現在データ集積中である。②ラット・マウスの構造MRI を用いたセグメンテーション精度向上の検証に関して。ヒト研究レベルの高精度セグメンテーションの手法をすでに20匹以上ラットにおいて展開しており、計画以上である。③ラット・マウスの18F-FDG PET を用いた糖代謝画像へのノイズ除去性能の検証に関して。画像取得は行えているが、PET画像へのフィルタアルゴリズムを十分に検証できていない。④GPGPU を用いた3D NLM ノイズ除去フィルタソフトウェアの改良に関して。最新CUDAに対応したソフトウェアのバージョンアップを行い、さらなる高性能化のための基盤作成に成功するなど、当初の計画通りに進展している状況にある。⑤ヒト健常者の構造MRIによるNLMノイズ除去フィルタ性能の検証に関して。現在1名のみではあるがデータ取得は実現している。⑥ヒト健常者のDWIによるNLMノイズ除去フィルタ性能の検証に関して。現在1名のみであるが、HARDI等当初の予定よりも高精度のトラクトグラフィーも視野に入れた画像取得を行えている。⑦認知症関連疾患患者の構造MRIへのNLMノイズ除去フィルタの応用に関して。データはすでに20名以上取得できており、計画以上に進展している。⑧認知症関連疾患患者の18F-FDG, 11C-PIB PETへのNLMノイズ除去フィルタの応用に関して。データは20名以上取得できており、計画以上に進展しているものの、PET画像へのフィルタアルゴリズムを十分に検証できていない状況にある。 上記を鑑み、計画はおおむね順調に進展しているものと判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
現時点で、本研究はおおむね順調に進展しているため、平成26年度も当初の研究計画に基づいて推進していく。 ①ラット・マウスの構造MRI を用いたNLM ノイズ除去フィルタ性能の検証に関して。ラットに関しては結果をまとめていく。マウスについて引き続きデータ集積を行っていく。②ラット・マウスの構造MRI を用いたセグメンテーション精度向上の検証に関して。ラットに関しては結果をまとめていく。③ラット・マウスの18F-FDG PET を用いた糖代謝画像へのノイズ除去性能の検証に関して。引き続きアルゴリズム検証を行っていく。④GPGPU を用いた3D NLM ノイズ除去フィルタソフトウェアの改良に関して。改良したアルゴリズムの検証をこれまで取得したデータで行っていく。⑤ヒト健常者の構造MRIによるNLMノイズ除去フィルタ性能の検証に関して。引き続きデータ取得を行っていく。⑥ヒト健常者のDWIによるNLMノイズ除去フィルタ性能の検証に関して。引き続きデータ取得を行うとともに、フィルタによる精度向上を検証する。⑦認知症関連疾患患者の構造MRIへのNLMノイズ除去フィルタの応用に関して。取得したデータに関してフィルタによる精度向上を検証する。⑧認知症関連疾患患者の18F-FDG, 11C-PIB PETへのNLMノイズ除去フィルタの応用に関して。アルゴリズム検証とともに、取得したデータに関して精度向上を検証する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予定していたマウスのデータ取得の進捗が遅れているため、実験用動物購入費用および当該データの保存用ストレージ等の物品費が当初の見積もりよりも低くなったため。 当該年度に予定していた実験用動物購入費用および当該データの保存用ストレージ等の物品費に使用する予定である。
|
-
-
-
-
-
[Presentation] Montreal Cognitive Assessment Score Correlates with Regional Cerebral Blood Flow in Post-stroke Patients2013
Author(s)
Yuriko Nakaoku, Yoshiki Hase, Naoya Oishi, Tatsuo Manabe, Mai Hagiwara, Takahiro Mitsueda, Masaru Matsui, Kazuyuki Nagatsuka, Hidenao Fukuyama, Masafumi Ihara
Organizer
The 6th Korea-Japan Joint Stroke Conference
Place of Presentation
Osaka, Japan
Year and Date
20131005-20131006
-
-
-
[Presentation] Montreal Cognitive Assessment Score Correlates with Regional Cerebral Blood Flow in Post-stroke Patients2013
Author(s)
Yuriko Nakaoku, Yoshiki Hase, Naoya Oishi, Tatsuo Manabe, Mai Hagiwara, Takahiro Mitsueda, Masaru Matsui, Kazuyuki Nagatsuka, Hidenao Fukuyama, Masafumi Ihara
Organizer
The 6th Congress of The International Society for Vascular Behavioral and Cognitive Disorders
Place of Presentation
Tronto, Canada
Year and Date
20130625-20130625
-
-
-
-
-