2012 Fiscal Year Research-status Report
Redox制御を用いた抗酸化食品と生体吸収性スペ-サーによる消化管防護放射線治療
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24791306
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
原田 文 神戸大学, 医学研究科, 医学研究員 (50610284)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 生体吸収性スペ-サー / 放射線治療 / 抗酸化食品 / Redox制御 |
Research Abstract |
生体吸収性素材を用いたスペ-サーによる腸管内外防護放射線治療の確立を目的として研究を行った。腹腔内にスペーサーを移植したマウスと移植していないマウスにおいて、放射線もしくは粒子線照射の有無により、骨髄機能、肝予備能、LDHや炎症反応の変化について考察をした。また、照射線量とスペーサー留置の有無によるマウスの体重変化、腸管上皮細胞の損傷の違いについても検討を行った。。結果、スペーサー留置をすることでスペーサーを留置することで放射線照射に伴う体重減少、腸管上皮細胞の損傷の改善を認めた。これらにより消化管を照射野から遠ざけることにより腹部悪性腫瘍に対して根治線量の放射線を安全に照射できる可能性が示唆された。 また、スペーサーを留置することによる経時的な形状の変化や炎症細胞の浸潤がどのように起こるかカニクイザルとラットで検討を行った。結果、スペーサーの吸収速度はその密度に依存し、密度が低いスペーサーほど吸収速度が速いことが確認された。また、移植後95日目に摘出し評価を行った。結果、密度の高いスペーサーは埋植時の厚みをほぼ維持されていた。一方、スペーサーの外部との反応を顕微鏡的に確認すると、炎症細胞の浸潤は認めるが、スペーサーが消褪した後に炎症は認められなかった。この結果から、生体吸収性素材を用いたスペーサーは密度がある一定以上であれば、内部では加水分解が始まった縫合糸が自己加水分解を加速させ、表面の縫合糸よりも急速に消退していることを確認した。 また、抗酸化食品による腸管防護効果についてマウスを用いて検討した。抗酸化食品としてVit.Cを用いた。投与の有無と照射線量の違いによる腸管組織像から判断すると、Vit.Cは放射線照射による腸絨毛のダメージを減少させており、Vit.Cを抗酸化剤として投与することで、放射線による腸絨毛の組織の障害が低減されマウスの生存率が向上することが考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウスを用いた生体吸収性スペーサーにより腹部放射線照射に伴う腸管障害の改善を認めている。カニクイザルにおいて腹腔への癒着の評価を行った結果、癒着の度合いは軽度であることが確認された。また、ラットを用いた実験から、生体吸収性スペーサーは内部から消退することが判明した。以上よりスペーサーを留置することが安全に行われまた放射線照射による有害事象の軽減に貢献する可能性が示唆された。 また、上記の様に抗酸化食品摂取により放射線治療に伴う腸管障害の改善が示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
抗酸化食品と生体吸収性スペ-サーの併用による消化管防護放射線治療の動物実験。 ラットによるスペーサー留置とRedox制御を用いた抗酸化食品の経口摂取を行い、粒子線照射・エックス線照射による消化管毒性がどの程度軽減するか、消化管耐容線量の評価を行う
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記研究の為、放射線照射、粒子線照射や動物実験による経費が必要となる。
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