2013 Fiscal Year Annual Research Report
分泌性因子がもたらすミトコンドリア機能変化と放射線抵抗性獲得機構の解明
Project/Area Number |
24791317
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
菓子野 元郎 大分大学, 医学部, 准教授 (00437287)
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Keywords | バイスタンダー効果 / 放射線抵抗性 / 活性酸素 / ミトコンドリア |
Research Abstract |
放射線誘発分泌性因子がミトコンドリアの機能を変化させる機構の解明を目指し研究を行った。 CHO細胞に4Gyを照射し、24時間後の培地を回収したものをコンディションメディウムとし、別に用意した細胞へそれを処理した。処理1時間後、ミトコンドリアの膜電位が低下することが分かった。同処理により、ミトコンドリア膜透過性の亢進が見られたことから、ミトコンドリアのマトリックスと膜間スペースのプロトン勾配が保てなくなることが原因である可能性が示唆された。次にミトコンドリア内スーパーオキシドの生成量を調べたところ、同処理により、増えることが分かった。さらに、同処理により突然変異頻度が高くなること、この突然変異誘導はSOD2の過剰発現やアスコルビン酸処理により軽減することから、ミトコンドリア内スーパーオキシドの誘導により核DNAへの損傷が誘導される機構が存在することが明らかとなった。 次にヒト癌細胞における放射線照射後の分泌性因子が放射線抵抗性を獲得するか否かを調べた。グリオーマ細胞U251に4Gyを照射し、72時間後または96時間後の培地を回収したものをコンディションメディウムとし、別に用意した細胞へそれを処理した。その結果、96時間後に回収したコンディションメディウムでは、対照コンディションメディウムに比べて、細胞増殖が有意に亢進することが分かった、さらに、同処理細胞に対して8Gy照射した際、細胞生存率が有意に高くなることが分かった。このことは、96時間かけて分泌された複合因子群が放射線抵抗性に関わる制御機構を活性化する可能性を示唆している。一方、ヒト乳がん細胞株MCF7では上記のU251でみられた放射線抵抗性獲得はみられず、細胞ごとの特性が関わることが考えられる。
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