2012 Fiscal Year Research-status Report
スポットスキャニング法を使用した陽子線治療の生物学的基礎研究
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24791322
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
岩田 宏満 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (40611588)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 陽子線 / スポットスキャニング法 / 放射線生物学 / 生物学的効果比 / 酸素効果比 / 2重散乱体法 / SOBP |
Research Abstract |
ワブラー法と2重散乱体法で、リッジフィルターを使用したSOBPの生物学的効果比の報告はあるが、2重散乱体法で、RMWによる陽子線SOBPのRBEの報告はないため、まずこれを測定した。 名古屋陽子線治療センターにて、複数の培養細胞に対して、Range modulation wheel (RMW)にてSpread-out Bragg peak (SOBP)を形成し、陽子線のSOBP中心の生物学的効果比を測定した。 まず、HSG、EMT6、SCCII、V79細胞に対して、同様の生物条件下にて、陽子線とX線をそれぞれ0-10Gyを単回照射し、コロニー法によって生存率を算出した。陽子線治療では細胞面がSOBP中心になるように調整した。調整位置は、ファーマーチェンバーを用いて絶対線量を測定して、細胞面を絶対線量測定をした位置と同じ深さに固定した。 それぞれの細胞に対して照射実験を各3回ずつ施行し、単回照射の生存曲線からD10の生存率をそれぞれ算出・比較し、生物学的効果比を算出した。 HSG、EMT6、SCCII、V79細胞の生物学的効果比はそれぞれ、1.01 (95% CI: 1.00-1.03)、1.15 (1.11-1.27)、1.20 (1.18-1.23)、1.22 (1.06-1.29)であった。RMWを使用した陽子線の、SOBP中心の生物学的効果比は諸家の報告と同程度であったが、細胞の種類によってコロニー試験でのRBEはばらついた結果であることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず、レンジモジュレーションホイールを使用した2重散乱体法でSOBPを形成し、その中心の生物効果比を測定し、この結果が諸家の報告と同程度であり、臨床使用可能と考えられた。この結果をもとに、今後の追加実験を行う際の、基礎的検討ができた。おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞の種類によって、生物学的効果比はばらつきがあり、またSOBPの場所による影響などについても今後の検討が必要であることがわかった。また、スキャニング法による同様の検討が今年度中から、行える予定であり、その間にまずはその基礎的検討となる、陽子線の酸素効果比の検討を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
追加実験のための、物品費、上記研究結果の成果発表、また追加実験の方法を検討するために、他研究所への旅費、研究発表の論文掲載などを行うための文書費、物品費等を予定している。
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