2014 Fiscal Year Annual Research Report
スポットスキャニング法を使用した陽子線治療の生物学的基礎研究
Project/Area Number |
24791322
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
岩田 宏満 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (40611588)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | Spot scanning法 / 陽子線治療 / 生物効果比 |
Outline of Annual Research Achievements |
陽子線治療はX線治療の線量分布を凌駕し、またその生物効果も異なることがわかっており、将来的にはX線治療におきかわり、標準治療になりうる最先端の治療である。本研究にて、特に最先端の照射法である、Spot scanning照射法の基礎的生物研究を行った。 まずRange-modulation wheelを使用した陽子線Passive照射法のSOBP中心とX線治療との生物効果比をin vitroにて複数培養細胞を使用して測定した。測定法としては、まずは実験系の確立が重要であり、このために、専用の固定具などを受注・作成した。複数回の照射実験を施行し、測定結果は細胞種類によって異なるが、おおむね、従来の報告と同様に約1.1程度であった。 次にSpot scanning法を使用したSOBP中心の陽子線治療と従来のPassive法、そしてX線治療とのそれぞれの生物効果比を測定した。同様に複数の培養細胞を使用して、照射実験を施行し、結果は同様に約1.1程度あることが分かった。 このことから、Spot scanning法での陽子線治療が、従来のPassive法での治療と同様な使用方法で臨床照射が可能であることが初めて分かった。この結果より、複雑な形状への治療や小児への治療、また治療抵抗性の腫瘍(難治性)に対する新たな治療法の一つになりうることがわかった。現在本研究での結果の論文が完成し、海外誌に投稿中である。また酸素効果比が陽子線はX線と異なることが追加実験で示唆された。しかしこれらの今回の研究では、SOBP中心の実験であるという制限もあり、より発展的な検討として、Distal offの治療効果や細胞レベルでの事象などを検討することで、より最適な治療法や分割回数などを推定でき、難治性癌への新たな治療戦略の一歩となることが予想される。
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